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3) T+D Magazine最新号トピック: “Connecting the Dots”

2020年08月07日 15:36

Allan Bailey, Lynette Gillis

ビジネス・インパクト・マッピングをもとに、ラーニングがビジネス成果を導く一連のイベントを視覚化しましょう。

タレント・マネジメント専門家は、自ら手掛けた学習プログラムがビジネスに成功にもたらすだろうと考え動いています。しかし、本当に戦略にインパクトを与えるような力があるしょうか? 人事は本当に役に立っているのでしょうか?

おそらく答えはノーでしょう。半世紀にわたる多くの研究が示唆するのは、残念ながら、トレーニング戦略がビジネスにほとんど影響を与えないという事実です。

この厳しい評価は、2019年のマッキンゼーの記事「成功するL&D戦略の必須コンポーネント」に示され、「学習戦略がビジネス目標に沿うと回答する企業はわずか40%。残りの60%は、会社の戦略的目標と学習目標につながりがありません。」 Association for Talent Developmentは、組織の「ビジネス目標を達成するための評価の取り組みが効果的だった」と考えるTD専門家は40%だと「効果的な評価」(https://www.td.org/research-reports/effective-evaluation)で報告しています。

しかし、大事なのは、TD専門家が、結果ベースの文化を育て、ビジネス成果を優先するトレーニングを確実にするためにできることがまだ、たくさんあるということです。

失敗の解剖学

ボーイング、ロジテック、カナダのビジネス開発銀行、ウエストジェット航空などの企業を含む約20のトレーニング・プログラムを5年間厳密に評価し、研修の慢性的な低パフォーマンスを目の当たりにしました。カナダ政府により認可されたこの研究の目標は、バランス・シートへのプラス効果を実証し、研修により大きな国家投資を奨励することでした。

研究結果は業界に爆弾を投じました。学習プログラムが投資収益率をプラスにするはずだという信念に基づく調査であったにもかかわらず、半分以上が失敗し、マイナスROIという結果を導きました。

しかし、失敗から多くの学びがありました。すべてのプログラムが体系的な方法で評価されたため、失敗を詳しく分析すると、何が機能し、何が機能していないかについて、希少な洞察を得ることができました。失敗したプログラムのほとんどが同じ過ちを慣行していることを突き止めました。

失敗の最大の理由―整合性の欠如

調査を重ねた結果、学習ソリューションの主要な目標について、主要な利害関係者の間のコンセンサスの欠如が明らかになりました。最前線のマネージャー、シニアリーダー、トレーニング開発者—各キープレーヤが、プログラムの主な目的について完全に異なる概念を持っていました。成功例が、ほとんどなかったのはいうまでもありません。

これらの教訓は、組織改善のきっかけとなりました。 解決手段の1つは、ビジネス・インパクト・マッピングであり、組織のトレーニング・イニシアチブとビジネス・ニーズに確実に結び付けることです。

このアプローチは、ロバート・ブリンカーホフの先駆的な仕事から発展し、すべてのプレーヤーを同列に配し、トレーニング・ソリューション、パフォーマンス、ビジネス成果を明瞭に視覚化させます。ビジネス・インパクト・マッピングによって、焦点が明確となり、インパクトとROIが大幅に向上すると確信します。

しかし、残念なことに、結果を洗い出し、連結する手法は、ビジネス成果を出すためには重要であるにもかかわらず、標準的な教育設計には欠ける手順です。

インパクト・マップの要素

インパクト・マッピングは、コンセンサスを引き出す強力なツールです。ロードマップ、つまり、3つの主要なプログラム(学習バリュー・チェーン)の望ましい結果のサマリーを(能力、パフォーマンス、組織成果)を示します。以下の質問に答える結果を表します:

-トレーニングに参加した結果、参加者はどのような知識、スキル、態度、意図を身につけるか? (能力)
-職場のパフォーマンスにどのように影響するか?彼らはどのような新しいスキルを発揮するか?彼らはどのような行動を取るか?どのように変化するか? (パフォーマンス)
-組織にどのようなメリットがあるか? (組織成果)

図1
(https://d19d5sz0wkl0lu.cloudfront.net/dims4/default/1e8ee1d/2147483647/resize/800x%3E/quality/90/?url=https%3A%2F%2Fatd-brightspot.s3.amazonaws.com%2Fce%2F3c%2F0da49572453998af46ad2e38ba56%2Ffeature2chart1.jpg)は、コールセンター・サポート・トレーニングのトレーニング・プログラムのロードマップを示す典型的なインパクト・マップです。マップは、教育設計者、ライン管理者、上級部門または部門マネージャーなどの代表的な利害関係者のコンセンサスにより構築されます。

最初の列は、トレーニング・プログラムの結果として取得するスキルと知識(能力)を示しています。この例では、製品知識、カスタマー・サービス・スキル、および問題を上長に上げるタイミングなどの通話管理スキルが含まれています。

中央の列は、参加者が現場に戻り、現場で開発者が観察するのを期待する主要なパフォーマンス、つまりより正確でタイムリーな問題の診断と問題を上長にあげるタイミングについて説明しています。

最後に、職務パフォーマンスの向上により、トレーニング・プログラムが組織の成果に影響することが期待されます。この例では、結果の一部は具体的です。つまり、追跡、測定、および金額に数値化できます。ここでは、具体的な結果として、コール・ハンドル時間の短縮と二次レベルエージェントのより効率的な活用が挙げられます。このマップは、顧客満足度の向上や従業員のエンゲージメントなど、目に見えない結果も示すことができます。

マッピング・セッションの実施

マッピング・プロセスは、設計チームがプロセスの所有権を持ち、プログラムが達成する大まかなドラフトを作成するときに最適です。ここで重要なのは、設計チームがこのドラフトの扱いに慣れていないことです。マップは、利害関係者との会話を始めるきっかけにしかすぎません。

私たちは文字通り何百ものフォーカス・グループとマッピング・セッションを実施することから重要な教訓を学びました。グループは、何か批判の対象となるケースが机上にある場合はすぐに関与します。対照的に、ゼロから自分でアイデアを生成するような場合は、億劫になり、結果を出すまで時間がかかります。設計チームは、利害関係者が確認できるマップのドラフトから開始すれば、より迅速に取り掛かることができます。

通常、マッピング・セッションには、インストラクショナルデザイナとSMEで構成される利害関係者グループ(3〜6人)が参加します。参加者グループの管理者または監督者;シニアマネージャー、スポンサー、またはクライアントです。

できれば対面で行われるセッションで、ドラフトの結果を修正し、結果を追加または削除し、トレーニングの本質的な目的に関するコンセンサスを徐々に構築し、プログラム結果と調整の優先順位を付けます。表の中身をステークホルダーで埋めていくという単純な行為が、マップそれ自体と同じくらい価値のある生産的な会話を生み出すことがわかります。

成果

当初、グループがトレーニング・イニシアチブの主要な結果を明確にするために、ビジネス・インパクト・マッピングを開発しましたが、マッピングが付随するインパクトを与えることを発見しました。

結果に注意を向ける。インパクト・マップは、結果に焦点を合わせたマインドセットと、学習、職務遂行、組織などのすべてのレベルで、結果についてのより厳密な考え方を促進します。

ビジネスに関する会話をトリガーにする。過去のインパクト・マッピング・ワークショップの参加者は、多くの場合、最大の価値はビジネスに関する生産的な会話であると報告しています。上級リーダーが視点を変えて、トレーニングと彼らの重要な成功指標の間の点を結びつけることが重要です。

上級管理職は、多くの場合、ラーニング・バリューチェーン全体を初めて完全に理解できます。Fortune 500クライアントでは、一連のパイロット試験の後、すべての事業部門がすべての新しいプログラムにインパクト・マッピングを義務付ける結果となりました。

生産的な対話を始める。セッションでは、プログラム・デザイナー、ライン・マネージャー、上級管理職などの利害関係者も、トレーニングの価値について彼らの立場から話し合います(または相反する見方を調整する)。そして、この集中した対話の結果として…

全員の認識を1つにします。よくあることですが、グループが意見の対立を発見すると、セッションは違いを解決し、コンセンサスを見つけるプロセスを提供します。議論に参加する人にとっては、他の人の視点からトレーニング・ソリューションを見るのは初めてのことになるかもしれません。

重要なのは、マッピング・セッションが、多くの場合、上級管理職がトレーニング・イニシアチブに本当に求めていることが何であるかということを設計チームが理解し、その理解を深めることです。最前線のマネージャーにとって、職場の行動がどのように変化する必要があるのか、何が適切で、実務的であり、あるいは可能でさえあるのかについての意見を共有する機会です。何が機能し、何が機能しないかを現実的にチェックできます。

従来のコース設計には、さまざまな利害関係者グループ間でこの相乗効果のある対話を効果的に行う活動がほとんどありませんでした。

評価に不可欠な基盤づくり
インパクト・マッピングは、何が評価されるか(重要な指標)、どのレベル(バリューチェーンのリンク)、いつ(データ収集のタイミング)を通知します。

全体像を保持します。複雑なプロジェクトでは、全体像を見失うことがあります。インパクト・マップは、全体像を明確に把握できるドキュメントです。スタッフとリーダが時間とともに歩む中、マップは、元の開発の背後にある結果と理論的根拠となるスナップショットを示します。

マップが生成するものと障壁を明らかにします。当然のことながら、インパクト・マッピング・セッションは、学習バリュー・チェーンに影響を与える要因と障壁を明らかにするまれな機会を提供します。意図した結果を強化または達成するための非常に貴重な情報です(図2を参照)。利害関係者グループの集合的な知恵は、イニシアチブの成功の成否を左右する、学習者、タイミング、組織の文化やコンテキスト固有の要素に光を当てます。

図2(https://d19d5sz0wkl0lu.cloudfront.net/dims4/default/91e05da/2147483647/resize/800x%3E/quality/90/?url=https%3A%2F%2Fatd-brightspot.s3.amazonaws.com%2F18%2F4e%2F3395bcd042a5aff127acb08cbe00%2Ffeature2chart2.jpg)の左側の列は、マネージャーの認識や仕事のシフトの柔軟性など、知識とスキルを仕事のパフォーマンスに転移するのに役立つ要素を示しています。転移のリスク(障壁)も記載されています。

明確でシンプルなロードマップ

インパクト・マッピングは、ビジネス・スピードに沿う合理化されたプロセスです。適切な関係者が集まれば、2〜3時間でマップを作成できます。セッションの終わりまでに既にドラフトを完成させる参加者もおり、驚かされます。

作成されたインパクト・マップは、1ページまたは2ページで明確かつシンプル、組織内のすべてのユーザーを対象とする主要なプログラムの目的を説明します。マップは、誰でも簡単に読んで理解できるドキュメントです。一部のグループは、マップを使用してプログラムを売り込み、潜在的な利点を説明します。また、マップを予算リクエストに添付したり、コース開発や取得のためにベンダーと共有したりします。場合によっては、TDチームがマップをトレーニング参加者、参加者のマネージャー、コース・ファシリテーターと共有して、関係者全員をプログラムの目標に合わせます。

過去5年間のROI研究で、1つのことを明確になりました。成功への道は、優れた明確でシンプルなロードマップから始まります。調査パートナーが利用できていれば、参加企業の多くが失敗を回避することができたのではないかと考えています。

ただし、標準の教育設計プロセスでは、この重要な手法または要素が欠如しています。デザイナ(私たち自身も含む)は山ほどのデザイン・ドキュメントを生成しますが、通常、トレーニングからジョブパフォーマンス、ビジネス結果までを簡潔に見通すページはありません。そして皮肉なことに、これは上級管理職が最も見たいページなのです。

そのコンセンサスに基づくマップがなければ、設計者と開発者は、トレーニング・ソリューションがビジネスの成果と整合しているものと想定することになります。実際、この重要な整合生は弱い、不正確、またはまったくない可能性が高いです。そして、この戦略的なロードマップがなければ、上級の利害関係者は、トレーニング・イニシアチブの価値について独自の見解で理解し、さらに悪いことに、まったく価値を見いださないかもしれません。

https://www.td.org/magazines/td-magazine/co

ATD Virtual Conference のご報告 <二回目>

2020年08月07日 15:35

ATD 初のATD Virtual Conferenceが2020年6/1〜6/5まで開催されました。オンライン・コンファレンスの第二回目の報告は、オンライン・ラーニング部門とデジタル・ラーニング・テクノロジ部門の情報です。

Janet Lockhart-Jones氏は、ウェビナとオンライン・ラーニングを比較し、前者が情報シェアを目的とし、発信者が情報に関する説明責任がないのに対し、後者は、学習を目的とし、多くのチャンネルを通したコミュニケーションが必要だと説きました。特にオンライン・ラーニングを実行する場合、毎4分おきに、質問、挙手を含めたインターアクションを組み込むとすれば、インストラクショナル・デザインに基づく詳細なデリバリ・プランがなければ、困難です。準備と実際のセッション時間の比率が、3対1ということは腑に落ちます。また、テクノロジ・リテラシを高め、バックアップに備え、目的に沿ったプラットホームを駆使する必要があります。Kassy LaBorie氏は、プレゼンテーション冒頭、オンライン・ラーニングを得意とする参加者が、10%程でしかないことを示し、大半のラーニング・プロフェッショナルも学習途上であることを知りました。どのプレゼンタもf2fのフォーマットをそのままバーチャルに移行すると、参加者のインターアクションやエンゲージメントが減少し、セッションが失敗に終わると注意を喚起しています。インターアクションとコラボレーションをバーチャルで実現するためのチャット、アノテーション、ブレークアウト・ルームの効果的な活用法を模索し、トレーナも楽しくなるオンライン・ラーニングの展開を期待します。

David Kelly氏は、「デジタル・トランスフォーメーションの大波」が、押し寄せる驚異に対して、ラーニング・プロフェッショナルへ大切なメッセージを伝えました。我々は、「デジタル・アウトプット」を直接、管理する部門ではないけれども、来たるデータ分析や5Gなどの技術を多くの企業が採用するに当たって、それが人事部と関わる段になって、「会話できる程度の専門知識を身につける」必要性があると言います。自分から知識を獲得する時代、ラーニング・プロフェッショナルだからこそ、進んで行動しないといけないのかもしれないと背中を押されました。

また、ラーニング分野でのAIの導入が進み、チャット・ボックス、バーチャル・アシスタントを使ったノレッジ・シェアリング、語学学習のロールプレイングやノンバーバル・コミュニケーションのフィードバックのソフトスキル・トレーニングのケースが紹介されました。ARはこれから2〜4年後には、様々な分野で活用例が多くの市場に出回り、VRは、医療、危険な分野に限られつつも、応用の試行錯誤が続けられています。パーソナル・ラーニングが促され、ソフトスキルの活用例も興味深いものでした。Walmartが、17,100のVRヘッドセットを購入し、実証実験を始めた事例からもデジタル・ツールは、確実に進化します。

情報過多、脳の情報処理メカニズムが明らかになるにつれ、人の情報の扱い方(学習に関わる集中力や記憶)が明らかになってきました。プレゼンテーションをする際、「視聴者の聞きたいこと」を鑑みて、自分のストレージから必要な情報を簡潔に提供する教材が望まれます。課題解決の際、必要な解決策をキューレーションする力も必要です。人間が、できないことをデジタルが補充していく中、より学習効果の高い洗練された学習教材作成が求められつつあることをヒシヒシと感じました。

ATD Virtual Conferenceは、メンバーネットワークジャパンの団体割引コードを使えば400USD弱で8月まで視聴が可能です。 ATDメンバーネットワークジャパンの団体割引コード :202003002, https://virtualconference.td.org    
文責:インストラクショナル・デザイナ 多田宣子

CPLPハイライト

2020年06月27日 09:13


例題1)ADDIEは何の略ですか。
A. Assess, design, develop, implement, evaluate
B. Assess, discover, design, implement, evaluate
C. Analyze, design, develop, implement, evaluate
D. Analyze, discover, design, implement, evaluate

【解答】 Cが正解です。ADDIEは、分析、設計、開発、導入、評価の略です。

例題2)Gagneの9教授事象の強みを述べているのはどれですか。
A. This theory is a collection of strategies used to quickly produce instructional packages depending on types of trade-offs between design and delivery.
B. This theory supports the notion of lesson plan design and an ideal teaching sequence that enhances retention because the training is based on the way that learners process information.
C. This theory outlines a learner-centered instructional style that guides the learners to discover what they need to learn.
D. This theory outlines six behavioral levels including knowledge, comprehension, application, analysis, synthesis, and evaluation.

【解答】 B。人間が情報処理、短期記憶装置から長期記憶装置に情報をプロセスする理論に基づき、編み出した事象であるから。

例題3)加速学習は、脳の左右の側面、皮質、辺縁系を含むものであり、故に学習を自然に促進します。加速学習の説明ではない文はどれですか。
A. Provides learning challenges for learners to overcome
B. Supports both learners and trainers
C. Presents material both visually and verbally
D. Provides for group-based learning

【解答】 正解は、A。加速学習は、チャレンジや学習を克服することに焦点を置かないため。

*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。

T+D Magazine最新号トピック: 「ニューロ・ダイバーシティを求める企業」

2020年06月27日 09:12

Ryann K. Ellis

成功する組織は、ダイバーシティが生産性と利益に与えるインパクトを理解しています。変化する顧客ニーズへの迅速な対応、グローバル市場の開拓、一流人材の獲得には、性別、民族、人種、世代の多様性に対する積極的なアプローチが必要であることを熟知しています。そして、今、職場で新しく形成されつつある流れが、ニューロ・ダイバシティです。

ニューロ・ダイバシティを推進することは、脳機能や行動がバリエーションに富み典型的なニューロ・タイプと異なる従業員をチームに迎え入れることです。彼らがメンバとなると情報処理ややりとりに変化がもたらされます。通常、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガ症候群、注意欠陥多動性障害、失読症、およびその他の認知の違いを持つ人が含まれます。

Centers for Disease Control and Preventionによると、今日、およそ60人に1人の子供が自閉症スペクトラムにあり、世界保健機関は世界中の160人に1人の子供が何らかの形で自閉症を発症すると予測しています。しかし残念ながら、Drexel大学の調査では、ASDのある若い成人の58%が失業しているという結果が出ています。

Autism Worksは、こうした数字が職場環境にどのように反映されるかを教えます。自閉症を認知し、ASDを持つ個人向けのプログラムを開発し、家族や地域社会と緊密に連携するこの組織は、自閉症スペクトラムの人々の失業率は77%にもなると報告しています。そして、雇用されていたとしても、彼らの強みや興味を反映しない単純作業に従事している例が多いと伝えます。Drexel大学の分析によると、自閉症で働く成人の半数以上は、自分のスキルは仕事に必要なレベル以上だと言います。

Auticonは、そのようなタレントのために新しい展開を図る取り組みをしています。グローバルITおよびコンプライアンス・コンサルティング・ビジネスでは、ソフトウェアおよびWebベースのアプリケーションの品質保証テストのために、自閉症スペクトラムの従業員を採用しています。CEOのKurt Schöffer氏は、Auticonの使命は「ニューロ・ダイバシティの認知を高めながら、活用されていない人材プールのための特別なキャリア機会を創出すること」だと述べています。

機会と利点
Auticonは、採用するASDを持つタレントが、ロジック、パターン認識、精度、持続的な集中力における認知能力が高く、直感的にエラーを見つける能力を高められると報告しています。同社はこの可能性を利用して、「自閉症スペクトラムにおいて非常に才能があり、熟練したタレントがIT業界やコンサルティング業界における雇用機会を加速させる」とSchöffer氏は付け加えます。

学習、注意、および他の認知能力の違いは欠陥ではなく利点であると考えるのは、Auticonだけではありません。 EYのNeurodiversity Center of Excellenceも、ASDでより多くのタレントを雇用しています。そのイニシアチブは2016年にペンシルベニア州フィラデルフィアで開始され、技術専門家がデータの収集と分析、ドキュメントの追跡を管理しています。 EYはフィラデルフィアをパイロット・ロケーションとして選びました。優れたSTEM教育と自閉症に特化したプログラムを持つ大学に近く、ニューヨークとワシントンDCの中間にあるためです。

EYのダイバシティとインクルージョンのグローバル副部長であるKaryn Twaronite氏は、次のように述べます。「ニューロ・ダイバシティのタレントは、技術・詳細指向であることが多く、分析、数学、パターン認識、情報処理における強力なスキルを備えています。」

EYによれば、最初の1か月で、技術トレーニングの時間を半分に短縮する程飲み込みが早いという
結果が出ました。また、彼らが、一緒に訓練を受けた一般従業員よりもはるかに速くプロセスを自動化する方法を学んだことも発見しました。その結果、短縮時間を利用して、自動化をより迅速に学習できるトレーニング・ビデオを開発しました。 EYはこの最初の成功の後、2017年にテキサス州ダラスにプログラムを拡大し、その取り組みは他の場所にも拡大し続けています。

「企業は自閉症の人々が問題解決に通常と異なるアプローチを取り、論理的で率直な思考が生産性を大幅に向上させ、プロセスの改善に拍車をかけることを期待している」とTwaronite氏は言います。

門戸を開く
Microsoftの自閉症雇用プログラムは、ソフトウェア・エンジニアリング、データサイエンス、コンテンツ作成など、社内のさまざまなチームの人材を集めるために2015年に始まりました。プログラムへの受け入れのプロセスには、自閉症雇用イベントへの参加が必要です。適格な候補者は、最初の技術的スキル評価を受け、その後、電話によるスクリーニングと招待制の1週間のキャンパス・イベントに参加して、スキルと実行可能性が会社のニーズと一致するかどうかを判断されます。

採用とアクセシビリティの責任者であるNeil Barnett氏は、「採用とオンボーディング・プロセスを調整する方法についてもっと広くかつ包括的に考えれば、Microsoftで活躍できる非常に才能のある自閉症の人々がいる」と述べます。彼は、従来の採用プロセスがASDの求職者にとって大きな障壁になると言います。 「門戸を調整することにより、候補者が採用担当マネージャーに自分の力量を披露し、実証するのを助けることができる」と言います。

プログラムの開始以来、50人を超えるフルタイムのニューロ・ダイバシティのタレントがMicrosoftで就業しています。すべて、ワシントン州レドモンドにある同社の本社に属すため、入社者の70%が引っ越しました。

同様に、Freddie Macは、ビジネス・ニーズとASDを持つ個人のユニークな能力が一致するインターンシップ・プログラムを開発しました。このプログラムにより、連邦住宅ローン住宅ローン会社は、主に未就職の才能ある人材(コンピューターサイエンス、数学、金融などの分野で大学の学位を取得しているASDの若年成人)と接触できます。Freddie Macは、自閉症自己擁護ネットワークを含む組織のネットワークと協力して、候補者を特定し、職務を説明し、選ばれたインターンがその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援します。

違いの理解
Marcelle Ciampi氏は、Everyday Aspergersの作者であり、ニューロ・ダイバシティを推進するテクノロジ企業であるUltranautsのシニア・リクルータ兼アウトリーチ・スペシャリストです。さらに重要なことは、彼女は天分の才能に恵まれながら、アスペルガ症候群、失読症と診断されていることです。

Ciampi氏は、The Aspergianという自閉症を持つ人が日常・仕事を通じて自らの経験を語るWebサイトで、真の職場のインクルージョンがごく限られたフォーカスでしかとらわれず、責任者が採用の際、ステレオタイプや暗黙のバイアスをチェックできないことに懸念すると述べます。

Auticonのリーダも同様の懸念をあげます。自閉症は個人によって異なり、それぞれ特徴のある独自のプロファイルがあります。

しかし、共通するのは、高度な専門的スキルと能力に加えて、自閉症は、自閉症のない人が通常簡単に習得できる職業人生活と対人関係に課題をもたらす可能性があることです。アイコンタクトとタッチ、おしゃべり、ノンバーバル言語、鋭敏な感覚など、自閉症を持つ従業員が持たない従業員と協力することが困難になる可能性があります。

このやり取りを容易にするために、Auticonは個別サポートを提供できるように訓練されたジョブコーチを採用しています。ジョブコーチは、コミュニケーションを促進し、ニューロ・ダイバシティの如何に関わらず誰もがアドバイスを必要とするときに手を差し伸べます。一人一人の個々のニーズに応じて、ジョブコーチはまた、職場環境への適応を容易にします。

「私たちのアプローチはセルフ・エンパワーメントの概念を採用します。そのため、ジョブコーチは必要な限り多くの支援を提供しますが、常にできるだけ最小限の支援を行います」と述べています。

適切なサポート提供
EYのプログラムの候補者は、専門のスクリーニングとトレーニングも受けます。まず、電話によるスクリーニングで合格した人は、半日のグループ面接のためにオフィスに招待されます。Twaronite氏は批判的思考、技術的スキル、チームビルディングを評価するための場としています。合格者は、SuperWeekと呼ばれる1週間の対面式のオリエンテーション、トレーニング、および評価体験に参加します。

SuperWeekの間、彼らはチームベースの作業シミュレーション、対人スキル開発、役割と会社を紹介するセッションに参加します。サポートはそこで終わりません。オンボーディングとトレーニングは、自閉症の正式なトレーニングを受け、採用プロセスに関わった採用マネージャによって行われます。

Microsoftの新規採用者もオンボーディング・サポートを受けます。特に、企業は最初にロジスティクスを模索し、希望に応えることが非常に困難な場合があるため、このセッションで情報提供することを優先します。たとえば、Microsoftは特定の場所、報告関係、服装規定について明示します。また、一部の新規採用者のために初日または週の詳細なスケジュールを準備します。

さらに、コーチ、メンタ、またはいわゆるサポートサークルのメンバになることを同僚に課します。新しい役割と組織に着任するときに、仕事関連の情報とソーシャルサポートを新入社員に提供できます。

会社のリーダと同僚は、チームメンバを巧みに管理し、すべての人にとってよりインクルーシブな体験を生み出すためのトレーニングも受けます。 Barnett氏のアドバイスはとてもシンプルです。

「より頻繁にフィードバックを与え、会議の要約を書面で共有し、期待するアクションを明確に伝えることは、すべての従業員が成功するのに役立ちます。」

Ciampi氏は、雇用プロセスとオンボーディング中に環境整備または職場調整をリクエストするための明確な手段を提示することをニューロ・ダイバシティ・プログラムのある企業に助言します。たとえば、ジョブ・アコモデーション・フォームがあると、このプロセスを簡略化できます。彼女はまた、ASDで新規採用をサポートする最良の手段は他の自閉症を持つ従業員であることを指摘します。言い換えれば、可能な場合、自閉症のある同僚やマネージャがトレーニングを受け、新入社員を自閉症のあるジョブコーチとペアにすることがベストです。

最後に、Ciampi氏は、ASDを持つ従業員と仕事する従業員を訓練するために、企業が自閉症ではない従業員に自閉症について何を知りたいかを尋ねるよりも、「ビジネスリーダが、自閉症であることについて知るべきことを自閉症を持つ従業員に尋ねてみる」ことだと言います。

https://www.td.org/magazines/td-magazine/a-workforce-that-spans-the-spectrum#gsc.tab=0

ATD Virtual Conference のご報告

2020年06月27日 09:11

ATD 初のATD Virtual Conferenceが2020年6/1〜6/5まで開催されました。オンライン・コンファレンスの豊富なラインアップを数回に分けて、今月号からご紹介いたします。第一回目は、Instructional Design部門の最近の情報です。

脳科学研究が進み、データ処理のメカニズムが明らかになる中、インフォグラフィックやビジュアル・デザインが注目されています。Mike Parkinson氏やConnie Malamed氏は、そうした理論を踏まえ、学習に影響を与える教材の表現方法の指針を与えてくれました。加えて、図画描写、アニメーション、オーディオ・ビデオ機能がバージョンアップしたMicrosoft PPTを使った教材作成は、教材作成者の心を鷲掴みにするでしょう。特に、BrightCarbon社のGoring氏とGarroch氏が紹介する画面切り替え「変形」を使った、学習を促すデジタル教材作成、そして、add-insを取り込んだ効率の良い作業は、魅力的な教材を開発するための後押しをすることと思います。

マイクロ・ラーニングの分野では、Karl Kapp氏とRobyn Defelice氏が、定義もまだ定まらないマイクロ・ラーニングの概要を明確化し、具体例を挙げながら3つのカテゴリに分け、マイクロ・ラーニングのロールモデルを紹介しました。マイクロ・ラーニングは、決して既存のPPT教材を短縮すればいいものではなく、設計時間が、f2fよりも長いプロジェクトがある事例も挙げられました。「学習」を重視すれば、ストリーミング動画作成とは、作業プロセス、人員体制も異なり、当然、開発費用にもそれが反映されることが予想されました。3つのカテゴリの内、パンデミック後の職場をテーマとするマイクロ・ラーニングの具体例をご紹介します。https://www.shortsims.com/play

Kimberly Devlin氏は、インストラクショナル・デザイナが直面する3つのチャレンジを皮切りに「研修を半分の時間で開発・導入する」方法を提案しました。まず、時間の制約、クライアントの高い期待、学習者が研修にのらない現実が多くのデザイナを悩ましていることに共感しました。そして、1. 成人学習の大家Knowlesの挙げる6つのガイドラインを研修に盛り込むこと、2. 研修後、学習者が具体的にできる(DO)ことを描き、それを研修に反映させること、そして、3. 講義中心ではなく、学習者の学びを引き出し、「遊び」心を研修に取り入れること等を紹介しました。最後に紹介された、ある研修担当者がDelvin氏に「クライアントから30分で(30分では収まらない)コンテンツを来週やってくれと言われました。どうすれば良いか」とアドバイスを求めた際、彼女が「全部内容を網羅するのではなく、3分しかなければ、できない重点項目を考え、それを研修にするのです。」という言葉が、非常に響きました。

Laura Ouden氏は、「学習転移」の研究結果とその対応手段に関するプレゼンを発表しました。研修6ケ月後、学習したことがどれだけ現場で活かされているかを調査し、「20%の研修内容」だけが転移されているという驚異の事実を突き止めました。研修開発・導入をしている者としては、非常に「悲しい」結果です。さらに、Ouden氏は、それを改善するための手段として7つの指針を紹介しました。ステークホルダーと共有意識を持ち、コミットメントを引き出すこと、学習目標とビジネス機会を一致させること、サポートする環境、転移を促す学習者の動機付け、現場への適用性、転移するための様々な度重なる機会、転移を促すテクノロジとしています。効率よく研修の成果をビジネスにつなげるための指針にできればと思います。 文責:インストラクショナル・デザイナ 多田宣子

ATD Virtual Conferenceは、メンバーネットワークジャパンの団体割引コードを使えば400USD弱で8月まで視聴が可能です。 ATDメンバーネットワークジャパンの団体割引コード :202003002, https://virtualconference.td.org