Eco-Learning: 未来を見据えた組織学習環境の整備に必要なこと

2017年07月14日 13:16

2017年ATD 国際カンファレンスでは、世の中のビジネスの急激な変化とともに、世界の労働人口の半分がミレニアル世代であるという時代において、新しい学びの環境と「ラーニング・カルチャー」の構築の必要性が、大きなテーマでした。「研修」や「セミナー」、「e-ラーニングコース」といった公式的な学習「コンテンツ」からの学びだけではなく、業務パフォーマンス上の経験や、仕事や人とのつながりからの知識や知恵の共有や学びあい学習の場からより一人一人にあった学習が組織的にスピーディーに進むことを支援する仕組みとして“Eco-Learning”が推進されます。「『教える人』と『教えられる人』」という関係性だけではなく、「コネクション」、「コラボレーション」、「コントリビューション」を基盤とした学習環境をどのように実現し、そのために人材開発に求められる考え方やスキルは何か、語られました。公式的な学びのコンテンツは、極一部であり、より多くの最新の情報がインターネット上から入手できる今、学ぶ人自らが「学びの共有」を積極的に行うSNSシステムの活用や、学習領域に応じたメンターやコーチを自由に選ぶことができる環境の整備、コンテンツの作成ではなく、キュレーションするスキルが求められています。

ラーニング・カルチャー(常に変化し自律的に学び続ける組織文化)をつくるためには、「研修企画をする」、「研修を実施する」といった組織における学習の極一部にフォーカスした人材開発のマインドセットを変えてこそ、そして、もはやテクノロジー抜きでは時代の変化にそった学習環境を作ることはできないことを胆に銘じて、自らの変革が求められていることが大きなメッセージでした。

CPLPハイライト

2017年05月31日 13:55

CPLP(Certified Professional in Learning and Performance)とは、ATDが発行・認証している資格の名称です。取得には、知識試験と実技試験(規定に従ったワークプロダクトの提出)をクリアする必要があります。CPLPを取得することにより、組織・人材開発プロフェッショナルに求められる基礎能力を有していることが客観的に証明されます。欧米企業の組織・人材開発部門や、コンサルタントの間では一般的となっている資格です。 https://www.td.org/Certification

ここでは、CPLPの知識試験エリアである次の10のモジュールに関して、各モジュールのハイライトを、「知識試験で出題される例題」を基にご紹介していきます。

1: パフォーマンスの向上: Performance Improvement
2: インストラクショナルデザイン: Instructional Design
3: 研修の提供: Training Delivery
4: ラーニングテクノロジー: Learning Technologies
5: 測定と評価: Evaluating Learning Impact
6: 研修プログラムのマネジメント: Managing Learning Programs
7: タレントマネジメント: Integrated Talent Management
8: コーチング: Coaching
9: ナレッジマネジメント: Knowledge Management
10: チェンジマネジメント: Change Management

例題1) パフォーマンス・マネジメントを実践するスペシャリストが、「組織」を分析する際、一番理解していなければならないことは何ですか。

A -The competitive environment
B -Compliance issues
C -The industry segment, organizational structure, formal and informal power structures, knowledge transfer, and business awareness
D -All of the above

【解答】 D が正解です。なぜなら、パフォーマンス・マネジメントのスペシャリストは、組織の出す結果を改善する要因となる業界のことを広く理解していなければなりません。Aは、競合のやっていること、新しいテクノロジ、イノベーションなどを指します。Bは、コンプライアンス、つまり、健康、安全に関わる業界、国、地域のファイナンス・リポートに必要となる事項です。Cは、業界、組織構造、フォーマル・インフォーマルなパワー構造、ノレッジ・トランスファー、ビジネス感覚など広くスペシャリストが持つべきカンパニー・ノレッジ(業界ノレッジに対して)に含まれます。

例題2) 多くの状況に応用できる「雛形」となるものはどれですか。

A -Cultural and global awareness
B -Appreciative inquiry
C -Mergers and acquisitions
D -System archetypes

【解答】 正解はD。System archetypesは、システムの行動パターンを定義するものです。 Archetypesは、関わっているシステムの1つを区別することができます。

例題3)全体をなすために部分の関係性やそれぞれの部分の関わりあいの重要性をポイントとするのはどれですか。

A -Closed systems theory
B -Systems view
C -Open systems theory
D -Fifth discipline theory

【解答】 正解は、B。 Systems viewは、全体をなすすべてを表し、部分がどのように関わりあうかをみる視点です。 これは、大きなゴールに焦点を置きながら、組織のデータや情報を集めます。

*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。

T+D Magazine最新号トピック (2017年4月)

2017年05月31日 13:54

■記事 「90%の学習機会」(THE 90% SOLUTION,ELAINE BIECH)

今日の人材育成専門家にとって、いろいろな学習の機会を提案できますが、70-20-10のモデル(70%の実体験、20%のやりとりの積み重ね、 10%のいわゆる研修)が、大きなガイドラインとなります。トレーナーは、そのうち10%の専門家です。一方、研修以外の学習の機会を提供するために、どのようなアプローチがあるでしょうか?

70-20-10の理論と背景
70-20-10モデルは、ノースカロライナ州の創造的リーダーシップ・センター(CCL)で1980年代に始まりました。その後、Michael LombardoとAnn Morrisonが、現在の70-20-10のフレームワークを提案し、職場におけるパフォーマンス向上のため、タレント・マネジメントに応用されました。1960年代後半に始まった実証研究が必ずしも70-20-10という結果を導きませんでしたが、その傾向はみられました。
 
70-20-10を70/20/10、70:20:10、70%20%10%、または、別のラベルで言うこともあります。(<図1>参照)しかし、呼び名より大事なのは、人がどのように学ぶかを明らかにした事実です。育成の専門家とシニア・リーダーはこの事実を把握することによって仕事を全うします。

<図1>
70%: 経験、ワークフロー、インフォーマルな学習、練習、On-the-job、割り当てられた仕事
20%: 人前で実行すること、ソーシャル、自律的、人、他人から学ぶ
10%: 教育、フォーマル、インストラクション、プログラム、新しいフォーマルなコンテンツ

70-20-10の学習活動
ここでは、それぞれの領域における学習活動をみていきましょう。

10%の学習活動
新しい概念や革新的なアイデアを仕込みます。
  •コース、セミナー、ワークショップ
  •eラーニング、バーチャル・モジュール
  •教室、eラーニングのブレンド学習
  •資格
  •専門認定
  •単科大学または大学のクラス
  •MOOCs、CMOOCs、およびSPOCs
  •書籍、記事、白書

20%の学習機会
励ましとフィードバックを受けることが鍵となります。会話が学習を促し、フィードバックを受け、自己満足に陥り、改善することを妨げます。他者から良い例や悪いことを私たちは、実は毎日学んでいます。
  •メンターとメンターを受ける者として参加する
  •ピア・フィードバックを促す
  •メンターまたはリバースメンターとして参加する
  •オンライン・プロフェッショナル・コミュニティに参加する、ブログを読む
  •アドバイス、意見、作業報告を求める
  •作業の調整/共有
  •内部/外部ネットワークの構築
  •360度フィードバック・プロセス
  •研究プロジェクトに参加する
  •他人を訓練する/教える

70%の学習機会
従業員にとって、仕事に関わるスキルを改善するための発見や意思決定ができるこの領域が一番メリットが大きいです。従業員に不足する知識とスキルを磨くために次のような機会を得られると、当人は最も力をつけます。一部、次にあげます。
  •問題を解決する
  •危機に対処する
  •クロス・ファンクショナルな活動に参加する
  •ローテーションで回る割り当てを担当する
  •地域社会やボランティア活動を担う
  •仕事の範囲を拡大する(新しい責任を負う等)
  •少し背伸びぎみの仕事を受け入れる
  •変化に適応する
  •新しい製品やサービスを獲得する
  •新たに学んだ概念を適用する
  •上級管理職との交流を深める
  •制御範囲を広げる
最後ですが、このモデルを、全体としてみなし、手段を講ずることです。すべての領域の学習機会を取り入れる視点を忘れてはいけません。

仕事のある所に学習の機会を
上記であげた機会は、必ずしも1つの領域を代表するとは限りません。例えば、ブログを書くことはソーシャルですが、研修でも効果的です。重要なのは、仕事をしている時に、学ぶ場があるということです。そのためには、「学び」の体験する機会を作らなければなりません。

フォーマルな学習
  •ふりかえりの時間を作る
  •練習、思い返す、観察、学んでいることを言葉にする時間を確保する
  •将来のビジネスにつなげるために名刺とメールアドレスを交換する
  •実際にありそうな場面のロールプレイを作る
  •フィードバックする

他者からの学習
  •教室やバーチャルの学習経験を超えた関係を構築する
  •学習者のためのコーチやメンターをつける
  •アプリとモバイル学習を使用する
  •ソーシャル・メディアを通して学習者と交流する
  •従業員たちに質問を投げることによって「井戸端」学習をする
  •従業員がチャレンジする機会を経営者とともに探す
  •学習者にローテーションやチャレンジングな仕事を求めるように、激励する
  •コミュニティとボランティアのオプションを探す
  •マネージャーが、正しい質問をするように学べるようにする

モデルを最大限に活用するためには、マネージャーが重要な鍵を握ります。コーチであり、従業員のパフォーマンスの責任は自分にあるという自覚をマネージャーは持っていますか。彼らが、育成方法を理解できるように助けるのがあなたの仕事です。そして、人事部門は、マネージャーを助けるためにコーチング、タレントを探し、育成するノウハウを持つ必要があります。

科学を知り、技術を応用する
70-20-10は、人が組織内でどのように学習し、パフォーマンスを上げているかを評価するガイドラインです。これは、決して規範的なものではなく、ほとんどの組織や環境下にみられる傾向をまとめたものです。これに基づいてあなたの説明責任と妥当性を再定義するのに役立たせて下さい。

詳細は、T+D Magazine 2016年12月号をご覧ください。

クイックレビュー:ATD ICE2017を終えて

2017年05月31日 13:51

今年のICEも大きなテーマは、“Micro Learning”と“Transformation(変革)”。

根底にあるのは、「職場における“Experience”と”Learning”を繋ぐこと」SNSなどのテクノロジーやMachine Learning機能によるPeer Connectionなども含む相互学習が継続に起こる“Eco-Learning”の起こるLearning Cultureを作ることが21世紀にタレント・デベロップメント・プロフェッショナルに期待されている役割であること。Micro Learningを単純に新しいe-learningの「製品」として捉えるのではなく、組織の継続な変化(ラーニング)と職場における業務を通じた「経験」(Performance)をどのように実現していくのか、そのための仕掛けをどのように導入し、どのように継続的な「学習と変化」がおこるようにファシリテートしていくのか、それを考え、実行することが人材開発部門に求められている役割であるという一貫したメッセージです。テクノロジー環境で育った人材がすでに労働人口の50%を超えている今、将来を見据えて人材開発に関わる人達自身が変わらなければ組織のTransformation(変革)は起こせませんよ!というのがメッセージでした。

去年も参加された方々にとっては、何が大きなテーマの違いかが見えなかったと言っているかたもいましたが、大きな人材マネジメントや人の学びに関わる大きな変化におけるコンテクストは変わっていません。EXPOにおけるラーニング環境をサポートするテクノロジーの進化スピードには目を見張るものがありました。Agileであることは、引き続き大きなチャレンジです。

「ラーニング環境」「業務環境」も大きな変化にある中、『目先の残業削減だけに翻弄されていて良いのだろうか?』と、グローバルの展開と日本の人材開発環境のギャップを、またも感じるICEでもありました。                     

CPLPハイライト

2017年04月24日 11:47

CPLP(Certified Professional in Learning and Performance)とは、ATDが発行・認証している資格の名称です。取得には、知識試験と実技試験(規定に従ったワークプロダクトの提出)をクリアする必要があります。CPLPを取得することにより、組織・人材開発プロフェッショナルに求められる基礎能力を有していることが客観的に証明されます。欧米企業の組織・人材開発部門や、コンサルタントの間では一般的となっている資格です。 https://www.td.org/Certification
ここでは、CPLPの知識試験エリアである次の10のモジュールに関して、各モジュールのハイライトを、「知識試験で出題される例題」を基にご紹介していきます。
1: パフォーマンスの向上: Performance Improvement
2: インストラクショナルデザイン: Instructional Design
3: 研修の提供: Training Delivery
4: ラーニングテクノロジー: Learning Technologies
5: 測定と評価: Evaluating Learning Impact
6: 研修プログラムのマネジメント: Managing Learning Programs
7: タレントマネジメント: Integrated Talent Management
8: コーチング: Coaching
9: ナレッジマネジメント: Knowledge Management
10: チェンジマネジメント: Change Management

例題1) システム思考(システムシンキング)の考え方は、パフォーマンス向上のために重要です。理由は・・・

A -問題・課題を全体的に見るから
B -小規模かつ段階的なチェンジは組織にとって大きな悪影響を与える可能性があるから
C -大きく変化する可能性がある施策を特定することができるから
D -上記の全て

【解答】 Responses A, B, and C all speak to important factors in performance improvement. System thinking is important because it puts a problem into the context of the larger whole with the objective of finding the most effective place to make an appropriate performance improvement. Therefore, response D is correct.

例題2) 次のモデルのうち、個人が日常的に起こる様々な出来事を扱うために用いられるものはどれでしょうか?

A -Cause and effect analysis
B -Appreciative inquiry
C -Open space technology
D -Ladder of inference

【解答】 Response D is correct because, according to Chris Argyris, people will interpret events differently and thus affect the outcome. 


例題3) 分析的なアプローチや懸念・問題に関するディスカッションから、ビジョンや機会に目を向けポジティビティにフォーカスするアプローチはどれですか?

A -Cause and effect analysis
B -Appreciative inquiry
C -Open space technology
D -Ladder of inference

【解答】 Response B is correct because appreciative inquiry involves the analysis of positive and successful (rather than negative or failing) operations. In essence, it "appreciates" what is there.

*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。