ラーニング・カルチャー:マイクロ・ラーニングは、旧来E-Learningコンテンツの「細切れ」化ではない

2017年10月06日 16:37

日本でもマイクロラーニングを作るためのセミナーなどのタイトル見かけますが、どうもマイクロ・ラーニングに対して、誤解があるように感じられてなりません。マイクロ・ラーニングには、モバイルで配信できることなどによる利便性だけではなく、フォーマル・ラーニングとインフォーマル・ラーニングの中間的位置づけとして、業務パフォーマンスとの連携やソーシャル・ラーニングとの連携による「自律的」な学習経験を創り、パフォーマンス・ニーズに基づいたJust in Time Learningの実現が求められています。

フォーマル・ラーニングとしてのE-Learningライブラリーと同じように、「やったという履歴」を残す事が目的というよりは、業務上の必要に応じた学習と実践、実践経験に対するフィードバックや課題共有からのナレッジの共有やコラボレーティブ・ラーニングを促すためのきっかけという位置づけでしょうか。

組織のラーニング・プロセスの見える化とラーニング・カルチャーを創り、パフォーマンス課題や組織学習のデータの蓄積ができる仕組みが重要となります。自律的学習者が組織の将来価値を高めることは、日本の企業においても同じだと思いますが、単純に「コンテンツ」を揃えるだけでは、「自律的学習者」を支援する仕組みにはなりません。パフォーマンス・コンサルタント、e-learning guildのグルとしても有名ねMarc Rosenbergは、“From Content Creation to Content Curation”の中で、コラボレーティブ・ラーニングとラーニングカルチャーを促すための原則として、

1.テクノロジー:素晴らしいテクノロジーがあっても、コンテンツが悪ければ、悪いコンテンツ(間違った情報)の速やかな普及を促してしまうと心得よ!

2.文化:素晴らしいコンテンツがあったとしても、コラボレーショには程遠い(日本の場合自律学習には程遠い?)組織文化へのコラボレーティブラーニングシステムの導入は、誤解と不信を促し、知識や知恵の共有を失わせて(殺して)しまうと心得よ! 

3.研修とe-learning:貧弱な独自コンテンツ(内製?)を沢山作ることは、「ラーニング環境を整えている」ことにならない。ほとんどの場合、時間と金の無駄遣いになると心得よ!


と言っています。

マイクロ・ラーニングは、通常の研修コースや、一連のラーニング・コースをつくる以上にパフォーマンス分析に基づいたインストラクショナルデザインが必要です。また、どのように「ラーニング・カルチャー」を定着させていくのかの戦略的なアプローチも必要でしょう。まだまだフォーマル・ラーニングが中心で、受動的な学習者が多い日本では特に強化すべき点ではないでしょうか。

E-Learningライブラリーやマイクロ・ラーニングと呼ばれるコンテンツのライブラリーを導入することで、自律的学習の環境が整えている、研修の代替えになる、と考えることは、組織のラーニング戦略としては、マイナスになり得ることも考え、統合的なアプローチの一環として、テクノロジー・ベースのラーニング導入を検討すべきではないでしょうか。

CPLPハイライト

2017年09月13日 16:51

例題1) パフォーマンス・マネジメントの専門家がマネージャーとコーチングについて話し合っています。コーチングをするに当たってのヒントを出してもらうことにしました。マネージャーの上司で有る、あなたがこの場合とるべき態度はどれですか。

A -Confront the workers, and tell them to start working again now that they’ve paused to relieve some stress.
B -Provide information and direction.
C -Ask questions, and explore their emotions and feelings.
D -Neutralize their anger, and allow the individuals to tell you their concerns.

【解答】 B が正解です。情報と方向性が明らかになることによって将来への不安がなくなり優先事項がわかるため。

例題2) あるマネージャーはいつも新しい問題を抱え、長期計画を立てられません。そのマネージャーにシステム思考を応用する必要があると伝えたいとする場合、どのような根拠を挙げますか。

A -It will help identify the most appropriate training solutions needed to fix the problems.
B -It will help identify the employees who are best at resolving crises.
C -It will allow the management team to uncover the root causes contributing to the problems and consider the effect of any implemented changes.
D -The organization will not thrive without long-range planning.

【解答】 正解はC。システム思考は、組織の一部を変更することによって、他の部署にも影響が及ぶことを示し、小さな変更による影響を理解し、大きな問題が生じることを防ぐため。

例題3)以下の説明文のうち、パフォーマンス分析を一番正確に定義しているのはどれですか。

A -It is the process of identifying constraints on the performance improvement initiative.
B -It is the process of identifying business goals.
C -It is the process of identifying the organization's performance requirements and comparing them with actual performance.
D -It is the process of gaining an understanding of external influences on the organization.

 【解答】 正解は、C。 パフォーマンス分析は組織の実際のパフォーマンスと理想のギャップを測ることであるため。

*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。

T+D Magazine最新号トピック: データ重視の学びのパーソナリゼーション, Zach Posner

2017年09月13日 16:50

ここ数十年の間に企業教育も随分変化しました。90年代は、コンピュータ・ベースの研修があり2000年代は、e-learningが導入され、ブレンド、コラボラティブ・ラーニングが、次々と姿を表しました。

1つ1つが前進であり、研修の専門家のみならず学習者にも恩恵をもたらしました。同時に職場も変化し、それに我々もついていかなければなりません。今の学習者は、「困惑気味、集中力に欠け、結論を急ぐ」と言われています。そして、コンテンツが「エンゲージング、シームレス、パーソナライズ、そして、すぐに目の前に現れること」を期待します。こういったニーズにどのように応えられるでしょうか。

McGraw-Hill Educationは、モジュラー形式、データ重視、かつ、マスタリー・ベースの適応学習を提案します。

学びをモジュラーに

モジュラー化した、一口サイズのコンテンツは新しいものではありません。マイクロ・コンテンツと呼ばれるものは、ツイート、likeといったソーシャル・メディアに溢れています。ビデオでさえ、30分ものがyoutube clipの3分に凝縮されています。コンテンツは、短期間の消費に向くものが制作され、人の短い集中力とも合致します。

一口サイズは、多くの学習者を掴みます。長いコンテンツに我慢することなく、食べきりサイズで学びができる。学びを得意とせず、集中力にかける学習者にとってこれほど嬉しいことはありません。

マイクロ・コンテンツは内容を短くするだけではありません。学習者にとって必要な内容を適切な時に、柔軟性を持って提供します。これは、データによりバックアップされ、シンクロされたエコ・システムに導入されるともっと強力な力を発揮します。

データ重視のパーソナリゼーション

消費時間、エントリ・ポイントといったオンライン・ユーザ・データというものを多くの人はご存知でしょう。こういったデータは、ウェブサイトの最適化のために使われますが、各ユーザのエクスピリエンスをカスタム化することにも適用できます。

例えば、Netflixのビデオ・レコメンデーションやアマゾンのe-commerce レコメンデーションでは、ユーザの好みが示される仕組みがあります。レコメンデーションは、2種類あり、ユーザが見たり購入したりしたコンテンツ、そして、タグ付けされた属性情報です。タグづけに関して言えば、無制限に使えるため、強力です。例えば、楽しんだ映画のタグは、女優、スクリプト、と限りなく挙げられます。現実には、すべての要素が複雑に絡み合いますが、タグづけが効果的だとそれが形となります。個人のインターアクションは、すべてのユーザのアルゴリズムにも適用できるため、すべての人のエクスピリエンスも改善されるようになります。

データ重視のパーソナリゼーションが他の業界でうまくいっているのだから、次は私たちの番です。

データを使って学びの成果を上げる

学びは複雑なプロセスです。個人の学びを考える時、4つの要点を考慮しなければなりません。正確性、時間、メタ認知、エンゲージメント。最初の3者のデータは、回答の正確さ、回答にかかる時間といったことから推し量れます。エンゲージメントは、他の3点から推測します。

すべてのデータが一緒になると、個人の学びを最適化できます。行動やパフォーマンスを表すデータを学びの最適化に繋げ、効果的、かつ、効率的なレッスンを提供できます。これを適応学習と呼びます。

適応学習をオートメーション化したパーソナル・チュータを考えて見ましょう。学習者のスキル・知識・パフォーマンスの情報を引き出し、教材やタスクをそれに合わせます。適応学習の目的は、学習者のニーズに合わせて、弱い領域を改善し、その人に合うペースや方向でコンテンツを進めることです。

適応学習は、学習者一人一人のニーズを満たすコンテンツを作りだします。本質的にデータ重視の、最終ゴールが学びとなるマイクロ・コンテンツです。Netflixのようにコンテンツは小さな断片に分けられ、最適化したプレゼンテーションを提供するためにデータの最適化がなされます。

例えば、従来の設定であれば、学習者はすべてのコンテンツに目を通さなければなりませんが、適応学習であれば、マスターした内容以外のコンテンツを学ぶことができます。

ここでの強みは、高い効率と効果性です。すでに知っているコンテンツに時間を費やす必要がありません。さらに伸ばすべき領域に時間と集中力を当てると習熟度も改善します。集中することによって習熟度が上がり、学びの満足度も高まり、記憶や完了度も好転するといいます。エンゲージメントも良い結果が出ています。学習者は、学びのオーナーシップを持つようになります。

強みがこれだけ有るだけでもすごいことですが、まだ話は終わりません。データはリアルタイムのため、研修インストラクタやマネージャは、すぐに反応を返すことができます。一眼で、指導内容を変え、コンテンツを洗練するができます。この点でも適応学習は多くのステークホルダに恩恵を与えます。

適応学習、アジャイル・オーサリングを統合してデータ重視のエコ・システムが出来上がります。人を中心としたデザインやデリバリが形成されます。

適応学習とプロフェッショナル・ラーニングへのアプローチ

Mcgraw-Hill Educationの適応学習は、テクニカル、定性的、定量的な内容を、ホスピタリティー・ビジネスから法務まで幅広く提供しています。

ゴールから学習目標にブレークダウンし、リソースとアセスメントを紐づけます。こうやって、学習者のインターアクションのデータが生まれ、適応学習、アジャイル・オーサリングが実現します。

Mcgraw-Hill Educationは紙媒体のテキスト販売会社から学習サイエンスの会社を目指し、従業員や顧客をエンゲージする企業文化に変えるために、従業員のコンピテンシーも見直し、期待される行動様式を新しく示しました。

従業員がスケーラブルに適応学習を実現できるようにしました。適応学習が効率よく、効果的にパーソナライズされることを実現し、データ重視のプラットホームを定めました。いかなる教材も導入することができ、タレント・ディベロップメントの専門家が、適応学習を推進するためのツールとなることを目指します。

学習理論やHPIを企業課題に活かす

2017年09月13日 16:48

■ 研修を活かす環境と選定基準 

先般、研修をめぐる痛ましい事故がありました。その研修がポピュラーな研修であったという事実にもびっくりしました。一体何を基準に研修を選んだのか。本来であれば、学習理論や脳科学的なアプローチには決してそぐわない研修のようでした。 

新人の研修などでは、効果的ではないということがわかっていても「詰め込み型」になってしまうのでしょうか?大変優れた設計がなされた研修でさえ、「研修」だけでは、業務実践への展開や定着は望めません。業務上の実践やフィードバックの仕組み、制度や、場合によっては、組織文化も考慮しなければ、結果として、研修で習ったことが実務には活かすことができない現状を見ることは沢山あります。 

研修を、単純に「XX社でもやっているから」、とか「xx業界では人気のある講師だから」とか、「メディアで有名だから」などで選んでいないでしょうか? 
 
インストラクショナルデザインはもとより、学習者心理や学習理論を抑えた研修ファシリテーションの知識やスキルのある研修会社なのか、そのプロフェッショナル(認定や資格を受けているのか)はいるのか、どのような設計思想や講師のファシリテーションスキル基準を持っているのかなど、研修を選定する側として基本的な理論を押さえておく必要もありそうです。 
  
ヒューマンバリューから出版されているATDベーシックシリーズの
 「組織における成人学習の基本」や「脳科学が明らかにする大人の学習」などを参考に、研修や研修講師の選定基準を考え直してみてはいかがでしょうか?

■ 「働き方改革」掛け声の落とし穴 

政府主導での「働き方改革」が叫ばれ、プレミアム・フライデーの実施や、残業時間の削減、テレワークの導入などといった施策があちらこちらで始まっています。 

そもそも「働き方改革」がゴールではないこと、何が目的なのかを示しているのではなく、ある種の「手段」の方向性を示しているだけのハズですが、いつの間にか政策側が示している「施策」実施が「働き方改革」の目的になってしまって、現場のスタッフやマネージャーが疲弊してしまっている現状はないでしょうか?
 
以前にもHuman Performance Improvement (HPI)をニューズレターでもご紹介しましたが、HPIは、組織のビジネスゴールや目標の明確化に始まって、期待される状態の定義と現状の分析に始組織の要因(制度、組織構造や業務プロセス、リソース)と個人要因(動機、知識やスキル、心身の健康)の観点から統合的に期待されるパフォーマンス状態の阻害原因を分析した上で解決策につながる「インターベンション(施策)」の組み合わせを選定します。実施に際しては、行動に関しては1か月以内の定着、業務現場に関連した目標に関しては、6か月をめどにその改善度を測定し、実施した「施策」が本当に「ソリューション」となっているのかを検証する、というPDCA, KAIZENのプロセスを回すチェンジ・マネジメントプロセスです。
「働き方改革」の推進こそ、チェンジ・マネジメントプロセスであり、組織文化のチェンジも見据えた統合的なアプローチをとらなければならない課題のはずですが、その大元の「目的」も共有されることなく、根本原因の分析も曖昧なまま、「想定原因」にアプローチする「施策実行」が次から次へと行われ、結果として巻き込まれる人達が「本当にこれが『働き方改革』になるのか?」という懐疑的な状態に陥っていることが、8月8日に発表されたNTTデータ経営研究所の調査レポート「働き方改革の取り組みと職場へのインパクト」にも示されていました。
 
欧米やインド・中東の先進企業においては、社内パフォーマンス・コンサルタントを設け、チェンジ・マネジメントを推進している企業も多く表れています。当社代表中原の元職場であるマイクロソフトでもそうでしたが、代表的なIT企業においても(Amazon、CiscoやIBMなど)でも Human Performance Improvement や Human Performance Technology のフレームワークに基づいて組織変革のゴールを明確にしながら、長期的な組織の成長と戦略目標の実現に向けた組織変革の推進をファシリテーションしています。2017年ATDの国際会議におけるIBMの改革推進のセッションでは、「人事マネージャー/パフォーマンス・コンサルタント」という役職の方が発表をしていましたが、社内におけるパフォーマンス・コンサルタントの位置づけが確立されていることに先進的な改革を継続的に進めていこうとしている同社のメッセージを感じました。
 
「目的(PURPOSE)」が不明瞭なまま何かをしなければならない状態ほど働く人にとって苦痛なことはありません。日本を上げて取り組んでいる「働き方改革」において、「こんあことやったって『無駄』だよな・・」という気持ちの人を増やしてしまわないよう、働き方改革に取り組まなければならないチームや人事のメンバーは、今こそ社内コンサルタント、チェンジエージェントとしての知識やスキルを武器とすべき時ではないでしょうか。

CPLPハイライト

2017年07月14日 13:21

例題1) 「問題」の3要素に当てはまらないものはどれですか。

A -Events
B -Patterns
C -Resources
D -Structures

【解答】 C が正解です。このモデルにおいて、取り上げる「視点」でなく、問題を見るレべルでもありません。リソースは将来、問題の源になりえます。

例題2) システム思考の原理に当てはまらないものはどれですか。

A -Solutions should be chosen and implemented as quickly as possible.
B -Cause and effect are not related to time and space.
C -There are no final or right answers.
D -Behavior gets worse before it gets better.

【解答】 正解はA。システム思考において、解決策がすぐに選ばれ、導入されることは関係がないから。システム思考の課題解決は、長い期間をかけて、基本的な事象にアプローチすることから始まる。

例題3)合併して間もないある企業の従業員は、新しい体制において何をしたら良いか考え、組織のどこに自分が所属しているのか定かでありません。彼らは、パフォーマンス・マネージメントにおける次の4つの段階のどこにいますか。

A -Disengagement
B -Disidentification
C -Disenchantment
D -Disorientation

 【解答】 正解は、D。 この段階の従業員は、混乱し、自分の居場所がわかっていないことから。

*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。