学びの環境を作るL&Dの視点:Self-Directed Learningとマネージャの役割

2018年01月05日 10:16

新年のJim Kirkpatrick氏のメッセージ“L&D’s Unmodified Future: Better Sharpen Your Resume”の中で、氏は、明確に「フォーマルトレーニング(組織として提供する、インストラクターやファシリテーターによって主導される研修や対話型ワークセッション、e-ラーニングコースなど)は、Level3(行動変容)やその延長上にある組織インパクトとしてのLevel4などパフォーマンスの向上に寄与することはほとんどない」と述べ、それを踏まえた上でのLearning & Development部門に必要となるアプローチを提言していました。仕事を通じたExperienceからの学び環境を作ることが大きな使命となっている今、テクノロジーは避けることができないL&Dの要素になってきています。また、日常の業務を通じての学びに大きな役割を果たすのが、マネージャ。“Minds At Work – Managing for Success In The Knowledge Economy”の著者 David Grebow とStephen J. Gillは、その本の中で、“An Employee’s manager is an essential partner in the learning process”と言っています。

成人学習者理論で有名なMalcom Knowlesは、“Self-Directed Learning:A Guide for Learners and Teachers”の中で、自律型学習を「最も広い意味で、自律的学習は、各個人がイニシアチブをとり、他者の助けを借りる、あるいは自分自身で、自分の学習ニーズの診断、学習目標の策定、学習のための人的および物的資源の特定、適切な学習の戦略と実施の選択し、その学習成果を評価する一連のプロセスである」と定義しています。

この学習のプロセスを支援する環境のキーとなるのがマネージャであり、各個人は、何が「課題=学習ニーズ」であるのかを常に特定できるLearning &Growth mindsetを備えている必要があります。

経営環境を取り巻く変化が激しい現在、「学び=変化に対応できる力」を備えていることが重要と言われて久しいですが、2018年、AI(人工知能)の進化も伴って膨大な情報の処理が可能になってきた今、人材開発部門や組織変革を促さなければならない人事部門にとって必要な新しい考え方やスキルは何になるのでしょうか?少なくとも、事実上あまりパフォーマンスに貢献することのないフォーマルラーニング(研修やe-ラーニングコース)の企画や運営だけでは、有効な機能を果たせなくなるかもしれません。21世紀もそろそろ四半世紀を迎える今、旧来の(20世紀と変わらない)アプローチを変えるマインドセットと知識・スキルが必要そうです。 (文責:中原 孝子)

CPLPハイライト

2017年12月28日 20:50

例題1) 洗い出ししたアイデアをより明確化し、理解しやすくするツールは何ですか。

A –Affinity diagram
B –Flowchart
C –Block diagram
D –Interrelationship diagraph

【解答】 A が正解です。多量の情報を回収し、論理的なグルーピングをし、その名称を定義するため。

例題2) ある集団の特定、かつ、詳細な情報を引き出すために有効なツールはどれか。(最適な選択肢を選びなさい。)

      A –Focus group
B –Interviews
C –Brainstorming
D –Surveys

【解答】 B が正解です。1対1であれば、詳細な情報までヒヤリングできるため。

例題3)リソース分析の目的は__。(____に入れるものとして適切なのはどれか。)

      A -Identify the content or resources available in an organization now that may
help with designing and implementing a performance improvement solution.
      B -Take an inventory of the economic, social, political, and legislative forces
that influence the way an organization functions.
      C -Identify how people, materials, methods, machines, and the environment
combine to add value to a product or service.
      D -Conduct a culture audit to uncover the organization’s value and beliefs,

 【解答】 正解は、A。 リソース分析は、既存のコンテンツやリソースを扱うため。

T+D Magazine最新号トピック:2017年のトレンド

2017年12月28日 20:49

タレント・マネジメントの専門家は、これまでも自分の快適ゾーンから脱出し、ビジネス成果を上げるために新しいアイデア、技術、テクノロジーを駆使してきました。そして、2017年も、新たなチャレンジに挑みました。生産性、職場文化、従業員の満足度、ワーク・ライフ・バランスの総合的な関係を問われ、マイクロ・ラーニングに注目し、そして、バーチャル・リアリティと拡張現実の実用化から目が離せません。

生産性と健康に重点を置いた文化
いうまでもなく、従業員が最善を尽くすことを妨げるシステムは失敗します。その例として官僚主義が挙げられますが、人々が健康的な生活を送るのを妨げる「文化」というのも一例でしょう。Leigh StringerがTalent Development Podcastで説明しているように、企業が従業員のライフ・スタイルを「健全な職場をつくるための戦略」とみなすと、より良いパフォーマンスと株価に反映されます。そこで、多くの組織では従業員の健康状態の把握に努め、文化がどのように醸成されるか重視してきました。

企業が健康を促進する手段として、正式なウェルネス・プログラムの実施があります。「職場と健康」の2016年の報告書(ハーバード大学、T.H. Chan, School of Public Health)によると、 従業員の51%が、勤める企業に、体重管理、精神保健マネジメント・プログラムといった正式なウェルネス・プログラムがあると指摘しています。ほとんどの従業員が(88%)健康維持のため、これらのプログラムを利用することは、非常に重要だと認識しています。しかし、実際人々にプログラムに登録してもらうことは容易ではありません。というのも、従業員の約40%のみが、企業のウェルネス・プログラムに参加しているだけだからです。それに対して、一部の企業リーダーは、大胆な取組みを行っています。報告によると、24%は、金銭的補助をインセンティブとして授け、5%は罰則を課しています。このように極端になる必要はありませんが、成功例として挙げるのであれば、コンサルティング会社EY(旧Ernst&Young)が好例でしょう。フォーブス2017年の記事によると、メンタル・ヘルスのためのトレーニング・プログラムと社内マーケティングが功を奏したベスト・プラクティスです。「従業員チャンピオン、クロスカントリー・プレゼンテーション、バーチャル・イベント、eラーニングカリキュラム、ピア・ツー・ピア・コネクションとフォローアップ・サービス」などのプログラムが並びます。タレント・マネジメントの専門家にはおなじみのものですが、効果が大変高く、最初の3ケ月で、問い合わせが30%上昇する程です。

では、どうして我々がこのことを、気にしなければならないのでしょうか。そして、ウェルネスの重要性をどのように証明すればいいでしょうか。答えは簡単です。健康が生産性に与える影響について語ればいいのです。

身体的健康から始めましょう:「人口健康管理」ジャーナルに掲載された2012年の研究によると、
従業員が1つでも不健全な行動をしていると生産性は、低下します。不健康な食生活は、従業員に66%の生産性をもたらすという報告も出ています。運動不足は、50%、喫煙は、28%です。次に、メンタル・ヘルスです:2014年の「雇用者の健康調査」では、米国の労働者の23%が、1度は、うつ病と診断されました。そして、40%の人が、年間平均10日間 - 64時間の休暇を取得し、仕事上にも支障をきたしたといいます。これらの数字は、多くの精神障害の1つに過ぎないので、現実は、もっと多くの人が影響を受けていると考えられます。

マイクロ・ラーニング
次にマイクロ・ラーニングです。まさに人材育成のホット・トピックです。周辺的なツールとして長い間使われてきましたが、今は、大規模に使用されています。例えば、2017ATDレポートのマイクロ・ラーニングをご覧ください:報告書によると、38%のタレント・マネジメント専門家は、マイクロ・ラーニングを採用し、一年以内に41%が開始を計画しています。48%が、次年度から大幅に増やす予定です。

マイクロ・ラーニングの最も一般的な使用法は、81%の採用者が指摘しているように、メーンの研修を補完することです。研修プログラムの前に学習者にコンテンツになじませ、参加者の理解を一定のレベルに揃えます。別の事例は、毎週のクイズやフォローアップ・レッスンを使って、完研修参加者が学んだことを振り返るのに役立たせます。

75%の採用者が使う理由として、ジャスト・イン・タイムの学習コンテンツを作成できることが挙げられます。例えば、病院では、看護師に短いeラーニングシミュレーションで施術直前に、必須手順を患者に実行する前に学習できます。ただ、注意していただきたいのは、これらのジャスト・イン・タイム・トレーニング・モジュールは通常の学習プログラムの中の1つということです。

あまり一般的でないのは、全トレーニングコース・コンテンツを一口サイズに変える形です。人材育成のわずか45%の専門家が、主に技術訓練に利用しています。テクニカル・トレーニングは、マイクロ・ラーニングの最大の強みを活用できます。例として、新しいソフトウェアの習得です。通常、テクニカル・トレーニングでは、特定、多様なタスクを教えます。従来のトレーニングであれば、受講者はおそらく、いくつかのタスクは覚えても、すべてを習得することはできません。しかしながら、マイクロ・ラーニングであれば、必要な時に、1つのタスクを教えることができます。

バーチャル・リアリティと拡張現実
「新しいイノベーションも、すぐ古くなる。」 結局の所、毎週、約537の新しいアプリが発明されたとしてても、企業がそれらを使用することはほとんどありません。しかし、人材育成の専門家にとっては、特にバーチャル・リアリティ(VR)と拡張現実(AR) - は本当に注目に値するものです。バーチャル・リアリティとは、人々が移入できる環境をパソコンにシミュレーションしたものです。ウォルマートでは、Black Fridayセール対応から困難な顧客のやりとりまでをVRで体現しています。ファースト・フード・チェーンKFCは、YouTubeを使って、鶏肉を調理するVRゲームを開発しました。

一方、拡張現実は、人々が経験する情報と文脈をデジタルな形で物理的な世界に持ち込みました。これは、製造業のパフォーマンス・ツールとして活躍しています。工場のラインで、コンピュータ化されたGoogle Glassが使用され、ユーザの視野域に情報を表示します。こうして、労働者は指示書を参照し、部品の正しい組み立て方法を持ち場を離れることなく確認できます。これらのツールの魅力は何でしょうか?チャド・ウデル、VRとARの設計エキスパートによると、「複製が難しい」活動、または、危険、再作成するには高額な費用がかかる」経験をシミュレーションするということです。人材育成で言えば、簡単にシナリオを変更し、異なる条件のシミュレーションを可能にし、貴重な経験を提供し、失敗することなく顧客サービスを提供できることです。通常はリスクを負う経験を、リスクフリーで体験学習できます。

ウデル氏は、KFCのように、ゲーム業界の真似をして、障害駆動型VR体験を作ることができるといいます。ある意味、VRシミュレーションを、真面目なゲームとも述べています。 どういう状況に受講者があっても、成功するまでその操作を繰り返すことができるからです。

ウォルマートの場合、経験の浅いスタッフを顧客の前に立たすことなく、できるまで顧客対応の練習をさせます。ウデル氏によると、ゲームとVRトレーニングとの違いは、前者が、「ファンタジーの世界」であることに対して、後者は、通常の仕事環境であるということです。

企業のAR利用について、ウデル氏は一般と異なる見解を示します。彼はARを「特にモバイル技術を使った場合、強力なパフォーマンス・サポート・ツール」だと言い切ります。今日の変化のペースで、ある情報を元にした研修は、即座に時代遅れになりますが、モバイル技術で随時情報の更新ができれば、中断することなくやらなければならない仕事を片付け、パフォーマンスに大きな違いを生むはずだと断言します。

これは、特に技術を従業員に伝えるのではなく、やらなければならないことを示す時、当てはまります。ウデル氏は設計上の観点から、ARはVRを使った真剣なゲーム・アプローチよりもゲーミフィケーションをもっと活用するだろうと予測します。ARは物理的な世界で利用され、物理的環境と相互作用するため、ゲームのメカニズムを現実に適用する素晴らしいツールとなりえます。ARのパフォーマンス・サポート・モジュールは、真のゲームとして機能しないかもしれませんが、ゲーム要素を借りるかもしれません。例えば、特定の指示を出したり、または増強されたタスクを完了することだったりします。ARを使って、パフォーマンス・データをゲーム化することによって、「仕事」と「測定されるコンピテンシーの達成度」を関連付けることも可能です。ウデル氏は、VRとARを融合することによって研修とパフォーマンス・サポートのギャップを埋めることができるかもしれない潜在的な可能性を秘めているといいます。例えば、顧客対応において、VRで事前に顧客と交流する経験を積み、ARを使用して現場のアソシエイトをサポートし、かつ、実際の顧客対応を測ることができるわけです。パフォーマンス・サポート、測定といった学習から行動変化までの行程をデザインできるようになります。

21世紀のマネジメントとラーニング

2017年12月28日 20:48

12月7日に開催されたATDジャパン・サミットのテーマは、「テクノロジーとラーニング・カルチャーの構築」でした。「ラーニング・カルチャー」=「常に学び変化し続けることができる組織」。つまりラーニング・カルチャーの構築は、組織変革の推進でもあるということが今回のサミットでのメッセージでもありました。

製造業の時代から、ナレッジ・エコノミーの時代になった今、「働き方」に対する意識と「学び方」の在り方が大きく変わろうとしています。「仕事」というExperienceを通じた「自己成長」と社会的貢献の「価値創造」の実現を重視する「働き方」を実現できる企業が選ばれる時代になりつつあります。

ラーニング・テクノロジーが重視されるのは、単純に、旧来の集合研修やOJTの代替えとしてではありません。組織が持っている「知恵やスキル」の能動的共有化を図り、組織に「持続的な学習の文化」を作る仕組みとしてEco-Learningの実践が紹介されました。従来の「研修」という組織としての公式な「インプット」を中心とした学習環境ではなく、常に「相互学習」が起こる環境の構築が人材開発部門の役割となっているのです。

Kimo Kippen 氏からは、BBCなどでも大々的に取り上げられ、世界で話題になった“ikigai”モデルが紹介されました。「働きがい」と置き換えても通じるモデルです。『自分の興味と会社の目指している方向性の一致、自分が得意とすること、好きなことが仕事として認められ、その生み出した価値が対価となり、社会的な貢献の認知を得られることによって幸せを感じる』 Engagementと置き換えても良いかもしれません。そのEngagementを生み出す源泉となるのが、ラーニング(成長)のあるExperienceであること、意味のあるExperience体験には、マネジメントの在り方や組織のラーニングの在り方がとても重要な役割を果たします。

日本では、「人材開発」部門の役割の多くが、研修の提供となっていることが少なくありません。e-ラーニングであろうと、集合研修であろうと、対話ベースのワークショップであろうと、「組織主導」の「フォーマルラーニング」からの学びは、10%程度と言われています。(さらに悪いことに、旧来のフォーマルラーニングの実に80%は、ほとんど活用されることすらないというデータ(Brinkarhof氏)が30年以上にわたって示されてきました。)専門家の指導や助言などからの学びが20%、業務など仕事を通じての学びが70%と言われています。「人の成長」が起こる経験の場に対して、「人材開発」部門はどのような働きかけをしているでしょうか?

先般、Jack Maは“Don’t Train our kids in Manufacturing Job” と発言したそうですが、20世紀製造業時代の研修では、21世紀の新しいナレッジ・エコノミーへの対応ができないことを端的に言い表した言葉と感じました。 

「研修」だけにフォーカスを当てていては、「組織」としてのラーニング機会の最大化に貢献することができません。マネジメントとテクノロジーを組織変革に活かす事ができるよう、「人材開発部門」自体がそのマインドセットを変えることが必要かもしれません。

CPLPハイライト

2017年11月04日 12:15

例題1) 目標が達成したことを示す測定基準とならないものはどれですか


A –Behavior change (application)

B –Increased knowledge

C –Business analysis

D –Performance metrics such as ROI


【解答】 C が正解です。Cはプロセスであり、測定する単位を持ちません。


例題2) 組織に影響する下記の要素のうち、プロジェクトを制約する要因はどれか。(最適な選択肢を選びなさい。)


A –Performance analysis

B –Gap analysis

C –Constraint analysis

D –Business analysis


【解答】 C が正解です。予算、時間、タイミング、スペースといった制約事項の分析のこと。


例題3)Gap analysisは、_____以外の事項を定義します。(____に入る選択肢はどれか。)


A -Driving forces

B -Desired state

C -Appropriate initiatives

D -Method for change


 【解答】 正解は、C。 パフォーマンス・マネジメントのソリューションで判明するから。


*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。