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T+D Magazine最新号トピック:xAPIを使ったラーニング・エコ・システム (Deep Insights) BRIT KELLER

2018年06月08日 10:05

xAPIによるラーニング・エコ・システムの価値と成果

最新のラーニング・エコ・システムは驚く程、完成度が高いです。一組織のラーニング・エコ・システムは、さまざまなツールとリソースを備えるようになるでしょう。インターネットで利用できる多数のリソースを加えれば、その守備範囲は本当に驚異的と言えます。

これまでにない豊富なリソースを学習者が利用できるようになります。ラーニング・ツールがますますクラウドに上がり、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)が利用できるようになると、レポートやデータ駆動型の学習が増えます。しかし、現在の分断化した学習環境では、効果的なツールやリソース、ツールの採用を最適化する方法、システムで統一されたレポートを作成する方法といった課題にまだ直面しています。

エクスペリエンスAPI(xAPI)はそれを解消するために生まれました。xAPIは、エクスピリエンス・データとラーニング・ツールを繋げるのです。言い換えると、これはWi-Fiのようなものです。Wi-Fiだけでは何も役に立ちません。引っ張ってくる情報とインターネットに上げる情報にこそ意義があります。データを使ってできることが、重要なのです。xAPIのデータにアクセスすることが、Wi-Fiのセットアップと同じであり、必要なことではありますが、最終的な目標ではありません。

xAPIは、ラーニング・アナリティクスや人事が、ラーニング・エクスピリエンスを改善し、学習者を動機付けし、組織に価値を付加する行動パターンを理解することに役立ちます。xAPIは、Wi-fi程偏在性はありませんが、データ駆動型学習を促し、データの視覚化と測定方法を実現し、タレント・ディベロプメントのエコ・システムを構築します。

xAPIデータのパワー

ラーニング・アプリケーションがデータの標準化をしていく将来を想像できますか。わずか一晩でそこには行き着きませんが、どこかで始めなければなりません。たとえ単一ツールからxAPIデータを収集することから始めるにしても、大きな価値を生みます。xAPIデータは、高精度のラーニング・データや学習行動の「意義」を示します。

xAPIデータは、まだ狭い範囲ですが、学習リソースを明らかにし、いつ誰が何をやっているのかという精密な学習行動を示します。

ラーニング・リソース

xAPI対応学習管理システム(LMS)または顧客関係管理システムからデータを収集すると、一番アクセス数の多いコンテンツ、アクティブな学習者、最もアクティブな時間がわかります。

アフリカの顧客の1人にとって、どのリソースがいつ使用されているのかを知ることは重要でした。参加者のエンゲージメント、コンテンツ・アクセスに費やされる時間、手段、そして時間を知る必要がありました。

その結果、この農業研究所の場合、コンテンツのどこを改訂すれば効果が高まり、トレーニングによるインパクトが大きいのかがわかりました。xAPIを使用して学習パターンとコンテンツのデータを回収することによりリアクション・ベースの制作者からプロアクティブなデザイナにシフトすることが可能です。

詳細な学習者行動
xAPIを使用すると、枝わかれした学習シナリオの選択肢の追跡が可能となり、非論理的学習およびシミュレーション実験における学習行動を深く観察することができます。 L&D機能が、販売、医学、技術サポートなどのダイナミックなコミュニケーション・スキルを必要とするオープンのシチュエーションで学習者をサポートすることができます。

クライアントの1人は、カリフォルニア州の公立看護大学の教育デザイナであり、学習者の理解のギャップを特定するためにデータを追跡します。 学習者が患者に質問した問い、有意であると判断した所見、学習者の最終的な臨床上の推奨事項など、臨床シミュレーション・モジュールからxAPIデータを収集します。

詳細なxAPIの学習データを使用して、学習者全体の行動パターンを識別することができます。 例えば、もっと重要な学習ポイントを正しく判断しますが、必要以上に質問し、無関係なことに目がいきます。 さらに、重要な発見が最善の意思決定につながるわけではありません。一方、最悪の決定を避けるけれども、最良の臨床的推奨事項の代わりに、時には平凡な選択肢を選択することもあります。

意思決定プロセスを理解できるデータがあると、教材の効果を考え直すための示唆となります。このフィードバックを学習者にまとめや議論として伝えます。クライアントは、次のように言います。「この精度のデータが欲しかった、ついにそれが実現しました。」xAPI以前には実現できないことでした。

最初の2例は、単一のツールやラーニング・エクスピリエンスから得られるxAPIデータ収集の価値を示します。次の3つは、学習環境内の複数のコンポーネントによるxAPI統合の価値です。

前にxAPIとWi-Fiを比較して、Wi-Fiは、常時、裏方であり、バックグラウンドの情報を移動させる存在だと言いました。学習者の経験が蓄積される、自動化されたデータは、ライブレポートの基礎となります。ウェブ管理者がWebページビューの統計情報をチェックして、いつでも最新の結果を得ることができるのと同じように、xAPI搭載のダッシュボードには、学習活動をリアルタイムで学習者、インストラクター、および管理者にデータを与えます。

たとえば、ある家具小売業者はYet Analytics、学習活動、プラットフォームにまたがる活動を追跡、測定、統合することによって販売者(学習者)の状況を査定しています。このプロジェクトは、LMS、コンテンツ管理システム、認証およびIDソースからのデータを接続します。ダッシュボードに現れるxAPIを使ったデータは、エンゲージメント、コンテンツ利用率、学習ソース使用率、実行パターン、販売準備、および販売学習の学習者配置といった指標を表示します。

学習進度の可視性は、最も重要な機能の1つです。なぜなら、製品の特徴や優位性をエキスパートとして理解しているかどうかが明らかになるからです。 xAPIを搭載した学習ダッシュボードにより、管理者は学習進捗状況を見ることができ、学習管理ができます。

ラーニング・リポートを学習の完成からエクスピリエンスにシフト

ラーニング・ソフトウェアによって、xAPIの有効化は異なります。特別に設計されたxAPIコンテンツをサポートするものもあれば、内部または外部のデータストアに記録するものもあります。ラーニング・プラットフォームにxAPIを搭載するサプライヤーと作業することにより、学習の測定方法が変わり、アセスメントの結果を示すだけでなく、ラーナー・エクスピリエンスの行程が示せます。

セールス・チームとマーケティング・チームは、クリック、一時停止、バウンス率、リピート訪問者、参照、ユーザーの共通のナビゲーション・パスなど、大規模な行動データにアクセスできます。xAPIを装備した学習ツールは、このレベルの細かいユーザー行動情報をL&D部門に提供し、結果や経路や行動パターンを考えるのに役立ちます。

誰もあなたの制作したコースを完了できず、第3週目に参加者の40%が諦め、特に80%は、90分のビデオの最初の30秒でギブ・アップするという事実を知っているかという違いを表します。L&D設計チームがより良いコンテンツを提供し、プラットフォームがより良いツールを提案するのに役立つようなアクセス・パターンや使用パターンについての意味のある解釈ができるようになります。

学習とパフォーマンスをつなげる

xAPIはもともと学習を追跡するように設計されていましたが、エクスピリエンスの要素となる「学習」とパフォーマンス・データをすべて収集するのに適しています。 しかし、Yet Analyticsは、コールセンターの事例において、顧客サービス・チームの学習経験とパフォーマンス・メトリクスを結びつけることに価値があると主張しています。

コールセンターの従業員は、通常、継続的に集中トレーニングを受け、決まったパフォーマンス指標によって評価されます。 コールセンターの学習データとパフォーマンス・データを統一することで、管理者はトレーニングの効果を実践で追跡し、測定することができます。

こういったプロジェクトは、少しスケールがありますが、ラーニング・エコ・システムのさまざまな部分に関連します。この種のxAPI統合には、LMS、学習コンテンツ管理システム、顧客関係管理システム、ヘルプデスク・データセンター、ナレッジ・マネジメント・ソースを含みます。

パフォーマンスの成果(例えば、受信数、通話待ち時間、顧客満足度など)を特定の学習経験に結びつけると、ビジネス目標と学習を直接結びつけられます。これにより、既存の学習体験の投資収益率を簡単に評価することができます。これは、ラーニング・リソースがより良い成果に貢献するかどうかを示します。しかし、この種のデータには、学習経験開発のためのリアルタイム・フィードバック・サイクルも提供します。 どのトレーニングが最も効果的か、何が失敗かを特定するデータを使って、L&Dデザイナは組織と従業員のパフォーマンスに貢献するサポートを継続的に向上させることができます。

データ駆動型のL&Dへの移行

常に変化する世界では、学習は組織全体にとって重要なことは明らかです。世界経済フォーラムで2018年1月に発表されたように「企業にとって、将来の仕事に社会的責任のあるアプローチを取れるタレントを見つけるには、学び直しとスキルアップ力が不可欠」xAPIなどの標準化されたデータによって得られる可視化した測定可能なデータに頼らざるを得ません。

xAPIをラーニング・エコ・システムに統合するには、さまざまなアプローチがあります。誰にとっても完璧で唯一なアプローチはありません。重要なのは、単一の学習ツールから出たxAPI

データでも、多様な意義が示されるということです。そして、そこからが始まりです。ラーニング・エコ・システムが複数のツールに接続すると、xAPIは組織全体の変革の基盤となり、学習者と人材育成専門家をエンパワーします。

学習エコ・システム分析プロジェクトのベスト・プラクティス
小さく始める

一度に学習エコ・システムの課題をすべて解決しようとは思ってはいけません。限られたデータ・ソースで、個別の測定可能なプロジェクトを選択しましょう。時間や経費をかけ過ぎず、学習分析を進める機会になります。

ビジネス上の課題にフォーカス

より多くのデータを収集し、明確なデータ・ソースを持つビジネスの課題を特定化します。 学習分析を重視することで、学習者の経験を改善し、エンパワーし、ビジネス上の課題に取り組み、ステークホルダーも注目する成功の測定値を出すことができます。

成功の指標

あなたのビジネス課題に直結する明確な目標と対策を設定してください。これらの指標は、イニシアチブを評価し、次の段階に進むためのサポートを得るきっかけとなり、より大きな投資の前に見直すべき箇所を示します。


パフォーマンスにつなげる

学習分析をパフォーマンスに結びつける方法を見つけましょう。 セールスやカスタマーサービスなどの部門では、大量のパフォーマンス・データがあり、学習やタレント・マネジメントに重点を置いています。 彼らは学習分析をするための協業者です。 ラーニング・メトリックをパフォーマンス・メトリックに結び付けることができれば、学習のための測定可能な投資収益率が得られます。

ブリット・ケラーは、学習データ分析会社Yet Analyticsの最高執行責任者(COO)です。brit@yetanalytics.com

ATD ICE(国際カンファレンス)2018から - 次世代と未来を創る責任

2018年06月08日 10:04

今年は、ATD創設75周年を祝い、オバマ前大統領が招かれ、ATD CEOのトニー・ビンガムとの対談形式でスピーチがありました。ソファに座り、リラックスした雰囲気の中、人に対する尊敬と謙虚でありながら信念をしっかりと心に伝える人柄が伝わってきました。随所に「これは本当に“FACT”だけどね。」と笑いを誘いながら環境問題に触れ、未来を担う若者に経験の場を早くから与えることの大切さや、その機会を作る「大人」側の公平で公正な態度の大切さを語りました。「方向を決める時、あらゆる階層の人の話を聞くことが大切だと思っています。大統領時代、会議が行われるオーバールテーブルについている閣僚ではなく、周りに立っている若手の官僚と思われる人達に突然話かけることが良くありました。『君、ごめん、名前は知らないんだけれど、このことについてどう思う?』と。大抵の場合、相手は、とてもびっくりしますが、彼らこそテーブルに積まれている膨大な資料の作成者ですから、彼らの率直な意見を聞きたいと思いました。地位や年齢に関係なく話を聞くこと、特に、先を見るのが難しいと思われる未来の前では積極的に若者の話を聞き、若者の経験とリーダーシップを養う機会を積極的に創っていかなければならないと思います。」「特に20歳~25歳くらいの人たちは、何の権限や責任も与えられずに仕事をこなすことが期待されています。しかし、若いころからしっかりとした権限と責任を持つことこそ、未来の課題を発見し、リーダーシップを発揮する人達の育成につながるのではないでしょうか。」と選挙運動中のボランティアの学生が「責任」を与えられて仕事をこなしていく中からさらなる課題を発見し、また、自らコミュニティーの改善運動を発起し、市の議会のリーダーになった例を挙げて、次世代を担う若者の育成に対しての「大人」側の責任について提起しました。AIテクノロジーの急激な変化に対して、「確かにテクノロジーは破壊的変化をもたらしています。そして、そのスピードは驚くほど速くなっています。グローバリゼーションとテクノロジーの進化はもう止められません。」また、「組織文化を創るのは、その要員一人ひとりの責任であり、インクルーシブであることが絶対に必要です。民族主義的な考え方は危険です。」とも添えながら。未来の人材育成に関わるATDのメンバーに対する最後のメッセージとして、「確かにテクノロジーや環境問題を含め、未来はますます複雑に見えます。しかしながら、僕は用心深く楽観視したいと思っています。」と言い、現政権T氏の政策言動に対して少なからず不安を抱いている人々に対するメッセージともとれる言葉でした。「我々一人ひとりが他者への尊敬の念をもってその責任を果たすことが物事をよくすることにつながると信じています。私たち一人ひとり全ての人がこの世界をよりよくしていくべき責任を持っているのです。」と結びました。

ATDボードチェアは、AIやロボテックスの進展による2030年の課題(?)に対するLearning & Developmentに関わる人のレディネスを提起しました。人々のReskilling Needsがあり、かつ、そのスピードは増しているにも関わらず、自分達はその準備や10年後の世界に備えたタレントデベロップメントが出来ているのか、という問いかけでした。

当該カンファレンスでのテーマでもあった “AI Has Reached a Tipping Point. Will It End L&D as We Know It?” と題したセッション(筆者、モデレート)に、300人を超える参加者が集まり、セッション後も多くの人から質問や意見交換を求められるなど、大変盛り上がりました。資料やディスカッション・セッションご希望の方は、当社までご連絡ください。

21世紀を担う若者に対して、今だに「20世紀」から続いている「古い」研修を続けていませんか?彼らに必要な将来スキルは明確になっているでしょうか?L&D部門として貴重な若者の大切な時期と時間を「無駄」になるかもしれない「訓練」や「スキル」研修として投資していませんか?

「時短」や「働き方改革施策」の実行といった対応策(リアクション)のみにとらわれているうちにテクノロジーとグローバルのスピーディーな変化は、私たちを置き去りにしていってしまうかもしれません。

Learning & Developmentのプロフェッショナルが未来を創る責任を全うしようとするならば、今こそ、未来を見据えた抜本的に人材育成体系や研修ニーズを分析し、データに基づいたL&Dを構築するときではないでしょうか。 (中原孝子)

CPLPハイライト

2018年04月24日 21:06

例題1) ダイアグラムにおける原因の頻度を指摘するために集計用紙から結果を分析するのはどのルート・コーズ分析ですか。(一番ふさわしい回答を選びなさい)

A. Five whys technique
B. Cause-and –effect diagram
C. Pareto analysis
D. Brainstorming

【解答】 C が正解です。Pareto分析では、ある特定のパフォーマンスについてデータを回収し、コスト・頻度に応じてデータを降順に整理するから。

例題2) ルート・コーズ分析で使われないツールはどれですか。

A. Cause-and –effect diagram
B. Expert opinion
C. Brainstorming
D. Five whys technique

【解答】 Bが正解です。エキスパートのコメントは、パフォマンス・マネジメントのコアともなる目標を切り捨てるかもしれないから。

例題3)契約部門から高いパフォーマンス達成値を低くできないか(短期で契約締結する)という依頼を受けました。ゴールは、承認されたプロポーザルを受領後60日以内で契約を締結することです。過去9ケ月間、ずっと日数が伸びているため、部長は懸念しています。現在の契約締結平均日数は87です。契約部門にあなたなら何とアドバイスしますか。

A. They have been implementing solutions, but actually need to step back to collect data that
will help to identify the causes and specifically the root cause of the delayed actions.
B. They have probably found that the root cause lies within the solutions they have tried and
just need to segment them.
C. They need to brainstorm a list of additional stop gap measures because these are not
working.
D. They will probably need to adjust their PAM expectations because the world is getting more
complex.

【解答】 正解は、A。ルート・コーズを明らかにする必要があるため。この過程で、日数がかかる本当の理由に至る原因を精査できるため。

*詳細は、ATDから発売されている「ATD Learning System」を参照ください。

T+D Magazine最新号トピック: 人材育成の価値を経営者に理解してもらうために

2018年04月24日 21:05

人材育成の価値を経営者に理解してもらうために

BY CRISTINA HALL AND JOHN R. MATTOX II

人材育成が、ビジネスにどのような付加価値を与えるかについて説明するのは容易ではありません。 Donald Kirkpatrickは4つの評価を紹介しましたが、経営者はこのコンセプトとビジネス目標の関係について考えが及んでいません。一方、Jack Phillipsの投資収益(ROI)の方が広く普及しています。 しかし、それは名の通った研修プログラムでわずかに挙げられるだけなので、学びにつながる大きな貢献をしつつも、多くの疑問に答えていません。

コミュニケーション・ギャップを埋めることは困難ですが、不可能ではありません。CEBのMetrics That Matterチーム(現Gartner)は、人材育成が与えるインパクトについて新しい見方を提示しました。ビジネス・リーダーにとって意味のある4つの分野、すなわち成長の促進、業務効率の最大化、リスクの軽減、基礎スキルの養成を、人材育成の効果と整合することを提案します。このアプローチが、なぜビジネス・リーダーにとって非常に効果的かを見てみましょう。

なぜ経営者はわたしたちの話に耳を傾けないのか?
ガートナーの研究は、人材育成がまさに今直面する課題、すなわち、指導する内容を人々が信頼せず、研修がインフォーマル・ラーニングに取って代わっていく現状を示しました。そして、わたしたちは、教育予算が縮小される現実を目の当たりにしています。A

なぜでしょうか? 一般に、人材育成は、ビジネス・リーダーも同意しますが、厳しい予算を無駄なく消化し、研修がビジネスにとって最も重要な要素にてこ入れできているかどうか査定することに懸命です。 多くの人材開発組織は、企業に価値を与えていますが、重要な業績評価指標の特定化、調査プロセスの標準化、およびカリキュラム全体を測定するよりも1つの研修の成功率を測定することに時間を割きます。これは、 経営者に、人材育成が組織化されていないような印象を与えます。

人材育成の仕事は単に研修を提供するだけではなく、個々のパフォーマンスを向上し、ビジネス成果を出すための研修を提供することです。しかし、ほとんどの人材育成は、パフォーマンス改善を測定するための「暗号」を解読せず、経営者と決まりきったやりとりを繰り返しています。

人材育成と協力しながら、Metrics That Matterチームは、測定・コミュニケーションをするための1つのあり方を示しました。

1. 人材育成がどのようにビジネス価値を生み出すかについて経営者の同意を得て、価値を共有する。
2.ビジネスの継続的な成功に最も重要な要因となる価値を優先順位に並べ、許容範囲と期待するパフォーマンスを定義する。
3. 人材育成プログラムのアウトプットとなるパフォーマンスの「提供価値」をもとに、一貫して測定、モニター、改善、伝達する。

これが、ポートフォリオ評価モデルであり、最終的に経営者に報告される形となります。

人材育成の価値を一致させる
多数の組織の協力を得て、今重要な組織価値を明らかにしました。成長の促進、業務効率の高度化、基礎技術の構築または維持、そして、リスク軽減といった4つの価値です。

すべての研修プログラムは、価値を生むために存在します。ポートフォリオ評価では、価値をもとに、研修がどのようにビジネス目標の達成に貢献するかを関連させます。

成長の促進 この価値をターゲットにする研修は、トップ・ラインの成長を促すために設計します。 プログラムは、企業固有のプロセス、システム、製品、またはスキルセットに焦点を当て、収益性と市場シェアを拡大するための知識とスキルを強化します。組織に合わせてカスタマイズするため、費用が発生し、知識の移転が確実に行われるような特別なサポートも必要です。例えば、売上高、顧客維持力、新製品イノベーションを高めるための研修や、経営陣がビジネス成長のためにチームを最適に配置するための研修です。

業務効率の向上 この価値を強化する研修は収益を上げます。成長コースと同様、組織固有のプロセス、システム、スキルセットに焦点を当て競争の優位性を高めます。例として、生産性向上、コスト削減、プロセスの革新性強化、または、経営者のボトムライン・パフォーマンスの最大化を支援するための研修です。

基礎技術の構築 これは、従業員のスキル・ギャップを明らかにし、ビジネスに付加価値を加えるための成長を促します。まだ半生産性が半人前くらいかもしれないすでに新人教育を受けた従業員でも、その従業員を置き換えるよりも小さなスキル・ギャップを埋める方が、企業にとって経費がかかりません。こちらの研修は、カスタマイズされたコンテンツより、汎用性の高いものが多いです。例えば、時間管理、MS Office、導入コーチングやセールスなどが挙げられます。

リスク軽減 リスクを軽減するための研修は、従業員が特定のポリシーを遵守し、業界認定を維持することによって、財務や評判といったリスクからビジネスを保護します。規制や安全訓練の遵守を重視といったコンテンツは業界の組織間で似かよる傾向にあります。

研修が、4つの価値と紐付けされることによって、人材育成のリーダーは、遅れている指標を指摘し、関連性、仕事への応用、ビジネス成果の改善といった研修効果がでている指標と遅れている指標の関係をみます。効果の現れている指標は、受講生やマネージャによる研修後の調査結果から明らかとなります。

4つの価値が、ビジネスに重大な影響を及ぼす戦略的成果と人材育成の取り組みをつなぐための共通言語となります。このように、ビジネス・リーダーの理解する言語で人材育成の貢献を表すことができます。

期待値の優先順位とその設定
経営者に一目置かれるためには、ビジネス戦略にとって最も重要な価値がどれかを見極め、研修が成果に貢献する「程度」を理解することが肝要です。 ビジネス・リーダーが新しい研修を求めるときはいつでも、それが示すより広いビジネス優先度に対して研修ニーズを見定める必要があります。

典型的な人材育成組織は、4つの価値に合わせたプログラムを提供します。しかし、どの研修に予算をつけるかは、ビジネス・ニーズに応じて異なります。 例えば、収益を最大化することによって株主価値を高めることに焦点を当てる組織は、教育の大部分を業務効率ポートフォリオに集中させ、他のポートフォリオへの投資を削減します。規制の厳しい業界では、研修をリスク軽減に集中させるでしょう。

さらに、パフォーマンスの期待値を設定する必要があります。 ビジネス・ユニット、チーム、個人に企業全体の目標を共有するのと同様、人材育成のパフォーマンス目標は、価値ごとに上流の(多くの従業員を網羅する)目標レベルで設定し、各ポートフォリオ内の資産をあてがう必要があります。例としては、ある業務が施行されることを予測する特定のしきい値を設定すること、または研修を受けたことから良いビジネス結果生まれることを示す受講者の一定割合にフォーカスすることなどです。

いくつかの主要な業績評価指標は、1つの価値にとって重要であり、別の評価指標にはほとんど意味がないため、研修後のマトリックスにおさめるべき評価基準は、「すべてに合う」ものとなりません。ポートフォリオに選ばれた主要業績指標にもかかわらず、関係者はどの測定指標が重要かについて合意する必要があります。この過程で、ステークホルダーに気づきと期待を与え、エンゲージメントとバイ・インを引き出します。

4つのポートフォリオについて尋ねる「よくある質問」と「特化した質問」のバランスが望ましいです。情報の取得や応募に関する「よくある質問」は、ベンチマークできる、ある程度まとまったデータとなります。すべてのポートフォリオにおいて、「よくある質問」が、中核となります。さらに、各ポートフォリオには、研修が成長をもたらし、コンプライアンスを保証し、基礎スキルを構築し、効率を高めるかなどを問う「特化した質問」も含む必要があります。

測定・モニターし続け、改善を加え、伝達する
4つの価値に貢献する人材育成の成果を測定するための適切なツールを見定めることによって、パフォーマンスと改善の繰り返しを止めることができます。標準プロセスとガバナンス・モデルをもとに、有効なデータを一貫して収集します。データ収集からレポート作成まで、ポートフォリオ評価の一連の流れを示すのが、Metrics That Matter手法です。研修は、ポートフォリオに基づいて分類され、それに基づき調査が実施されます。

•初段階において、人材育成が研修を適切なポートフォリオに分類します。各研修はひとつのポートフォリオに属します
•次に、各ポートフォリオにおける「よくある質問」から生ずる指標と特化された主要業績評価指標が、調査ツールを使って収集されます。
•最後に、レポートが生成され、人材育成は、各ステークホルダにアクション・タスクを提供します。

どのステークホルダがどのレポートを受け取るかは慎重に行います。 例えば、うまくいっている要件、各研修の改善が必要かを示す報告書は、インストラクタ、デザイナ、人材育成マネージャに伝えます。人材育成のリーダーは、研修がビジネス成果にどのように貢献しているかを知りたいので、エグゼクティブ・レポートが必要です。

特定のポートフォリオに焦点を当てた追加分析と報告から、重要な気づきが生まれます。例えば、成績向上目標を達成できるかどうかの期待は、ポートフォリオによって異なるため、低い成績改善スコアを高くするための研修をランク付けすることの方が、すべての研修をランク付けするよりも重要です。このようにデータをセグメンテーションすることで、改訂すべき研修の優先順位を付けやすくします。

図 1. ポートフォリオ・スコア・カードのサンプル
業務効率の向上
増 生産性      緑 72%
減 サイクル時間  緑 51%
減 コスト       緑 70%
アプリケーション   緑 80%

成長の促進
増 生産性       緑 75%
増 セールス      黄 70%
増 顧客満足度    緑 48%
アプリケーション    赤 68%

リスク削減
増 安全      緑 80%
減 リスク     黄 51%
品質        緑 70%
組織によるサポート 黄 82%

基礎スキル
増 生産性   緑 80%
品質       緑 75%
学習効果    緑 80%
マネージャー・サポート 黄 50%

図1は、4つのポートフォリオ別の主要な指標を示すスコアカードです。 パーセンテージで示されるスコアは、ベンチマークまたは目標に対してどの程度かを示し、予測されるインパクトを与えるかどうかを色で表します。(青:インパクトあり、黄:注意、赤:インパクトなし)成長促進のアプリケーションに関して言えば、68%を示し、目標を下回わり、研修を改善しなければならないことを示します。

ポートフォリオ評価のメリット
ポートフォリオ評価アプローチは、シンプルでありながらメリットの大きい結果をもたらします。 まず、重要なビジネス優先事項と人材育成を結びつける明確な枠組みを提示します。 これは、個々のプログラムと上流のビジネス目標を結びつけ、人材育成の取り組みがどのようにビジネスに貢献するかを表します。 第2に、管理が容易にできる範囲で適切に指標を収集することを可能にします。 また、受講者は「よくある質問」慣れしていくため、調査に伴う疲労を軽減させます。最後に、最も重要なのは、ポートフォリオ評価は、人材育成の価値を経営者のわかる言語で伝えるシンプルな方法だということです。

Cristina Hall は、 Metrics That Matter Advisory Services team for CEB, 現Gartnerのリーダーです。 cristina.hall@gartner.com
John R. Mattox II は、CEB, 現Gartnerのコンサルタントです。 john.mattoxii@gartner.com.

“Neuro”はBUZZ word?

2018年04月24日 21:02


5月6日より9日まで米国San Diegoにて、世界中から1万人が参加するATDの国際カンファレンス(ICE)が開催されます。日本からも、200名近い参加が見込まれます。その説明会の折、「ニューロサイエンスに興味があるのですが、誰のセッションに出るのがいいでしょうか。」という質問が寄せられました。ATD ICEのトラックには、”Science of Learning”というテーマがあります。その中には、”Neuro”や”Brain”と行ったタイトルのセッションもあります。

ICEで話題となったことを機に「〜はもう古い」とか「今は〜だ」とい言われることがあります。ビジネスの変化に伴うトレンドは確かにありますが、L&Dデザインの基盤となるラーニング・セオリーをおさえず、BUZZ Wordに惑わされるのは危険です。

2016年にPatti Shank は、ATD Blogの”What Do You Know About Brain Science and Adult Learning”で、「実際、ニューロサイエンスからわかったことは何だろうか?Neuro Science が結果として示していることは、認知科学と変わりないが、私たちは、毎日のように”Neuro” や”Brian” という言葉を聞きます。認知科学というよりも”Neuro”や”Brain”の方が人にアピールするというマーケティング的な要素が色濃く、実際には認知科学と成人学習理論で述べられていたことを『かっこよく』見せているだけだ」と言います。

インストラクショナル・デザインで言えば、ADDIEは、柔軟性に欠けていて今の時代に向いていないというような話も一時話題となりましたが、Elaine Biechは、その著書”The ART of Science Training”(2016年)でラーニング科学によって裏付けられている事実を以下のように述べています。
 Words matter, choose yours carefully. (言葉は重要、選んで使いましょう)
 Adults learn because they want to or need to. (成人学習者は、学びたかったり、必要だから学ぶ)
 Training is all about learners. (トレーニングは学習者に始まり学習者に終わる)
 Using ISD model is effective. (ISDモデルは効果的だ)
 Bloom’s taxonomy is an excellent resource for setting objectives. (Bloom taxonomyは目標設定のための豊富なリソース源だ)
 A wealth of practical advice is embedded in Gagné’s Conditions of Learning. (Gagné’の”Conditions of Learning”は実践的なアドバイスの宝庫だ)
L&Dに携わる人の基本と今をキチンと整理するためにお勧めしたい本です。また、L&Dプロフェッショナルの基礎の概要をおさえたい方には、ATD International Network開催のT&Dコンピテンシー基礎講座の受講をお薦めします。https://goo.gl/vS57nL