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ベンチマーク:「研修・教育投資」ASTD State of Industry Report より

2013年04月15日 20:20

2012年暮れに発行されたASTDが毎年行っている人材育成投資に関するレポートが出ました。研修や教育関連への直接的費用の調査に関する報告です。
今年度の同調査対象(Consolidated)企業グローバル500社の平均投資額は、$118/一従業員。ASTD BEST Award受賞企業(BEST)の平均が$1272。調査対象の企業は欧米だけではなく、インドやトルコ、ブラジル、香港など新興国のグローバル企業も含まれています。比較データとしてFortuneのグローバル500(Global 500)企業のデータも記載されていますが、その平均は、$1034。
また、従業員一人当たりが実際に受講した研修・教育時間は、それぞれ C:49.1時間、B:30.5時間、G:35.2時間となっており、費用投資に対しての受講時間はフォーチュン500企業が多くなっており、テクノロジーベースの教育の浸透が見られることもレポートされている。
総人件費に対する割合は、C:2.14%、B:3.23%、G:2.83% となっており、BEST企業昨年の2.66%、そしてフォーチュン500の1.43%からの大幅な伸びとなっていることに人材育成戦略への変化が感じられる。
ちなみに総収入に対しては、C:0.62%、B:1.16%、G:0.65%。 利益率では、 C:5.73%、B:6.49%、G:2.84%となっています。
日本では、このような調査すら続的に行われていないため、比較データもないのですが、2005年の経済産業省の産業人財育成投資調査報告では(通帳白書2005年)、人件費に対しての割合が0.26%(グローバル平均の約10分の1)でした。 「戦略」としての人材育成を行っていくのであれば、せめてこれらのベンチマークデータと比較するデータを持って予算確保することも人材開発部門の重要な業務ではないでしょうか。皆さんは、これらの「数値」に基づいた「ビジネス」としての「人材開発」を行うためのデータを収集した上で予算確保を行っているでしょうか?

2012年の報告では、研修投資内容にも大きな変化がありました。
いわゆる “Executive Development”と言われるトップリーダー層への育成投資が、C、B、Gすべてにおいて、ボトム3となり、業界特定専門教育、プロフェッショナル分野への育成投資、そしてプロセス改善やビジネス・プラクティス創出への投資がトップ3に入っています。
共通べトム3項目としては、基本ビジネススキル(平均4%)が入っています。
以前に比べリーダー人材育成やマネジメント教育への投資割合が大幅に減り、業界特定専門分野や、専門性への教育投資の割合が、最も高くなっている変化は、グローバル企業におけるマネジメント育成が一通り一段落したからと解釈すべきなのでしょうか。いずれにしても、プロフェッショナルとプロフェッショナルとのコラボレーションからのイノベーションが重視されているグローバビジネスの傾向を反映し、企業の競争力の源泉と専門性の強化により一層の重きを置くビジネスニーズを色濃く反映した内容となっています。
皆さんの会社における投資配分はいかがでしょうか?日本企業における新卒一括採用という特殊な採用形態から、「基本スキル」に対する投資額が多いとも聞きますが、皆さんの組織における研修や教育内容への投資ポートフォリオはどうなっているでしょうか?明確な経営ニーズを反映しているでしょうか?
いわゆる「グローバル人材育成」が叫ばれ、先ずは「英語」や派遣日本人社員に対して基本的なマネジメント教育などが改めて重要な「研修コンテンツ」になっているところも多いかもしれない。経営戦略上重視すべき自社の「専門性」を備えた自立したプロフェッショナルこそどこに行っても「仕事」が出来る人材であるとすれば、先ず重視すべきなのは自分たちの専門性や伸ばすべき分野に必要とされるスキルや知識などの共通認識なのかもしれません。また、もし、経営戦略上の「英語」によるコミュニケーションスキルを伸ばすことが急務であるとすれば、その予算は、上記ベンチマークデータにある数値のほかにも確保すべき予算なのかもしれません。
個別研修の効果測定などを行うことも必要なことではるかもしれないが、人材開発を組織の戦略としていくためには、組織全体の研修育成投資を明確に把握し、「ビジネス」としての予算計上のためのデータを押さえておくことも重要ではないでしょうか。
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