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T+D Magazine最新号トピック 個人開発計画(IDP)の再考

2020年11月22日 12:42

個人開発計画(IDP)の再考
David Hosmer

管理層はIDPに消極的
今こそ、企業はIDPを導入すべきです。 IDPの多くの研究は、従業員のメリットを指摘しますが、企業にもビジネス上の恩恵があることを認識すべきです。なぜなら、従業員が今、必要なスキルを取得していることを確証し、会社の持続可能性と成長を確保する機会になるからです。ビジネス・スキルと知識ニーズを合致させることと並行して、企業は従業員の望むキャリア開発にも取り組むことができます。

なぜマネージャは従業員を育成しないのか?
重要性が証明されているにもかかわらず、多くのマネージャは依然としてIDPを活用していません。IDPは、従業員が将来、取得すべきスキル、知識、またはコンピテンシの詳細計画書です。たとえば、次の調査結果をご覧下さい。

•Gartnerの報告によると、70%の従業員は、将来はもちろん、現在必要とするスキルに欠けます。
•最近のLinkedInの調査によると、雇用主がキャリア開発に投資した場合、94%の従業員が会社に長く留まります。
•充実した従業員育成プログラムを持つ企業がより高い収益と株主価値を実現するということを複数のレポートが示しています。

また、管理者がIDPを採用しない理由もさまざまです。

自信の欠如 Gartnerによると、45%のマネージャが、部下のスキルを伸ばすことに自信をもっていません。確かに、その能力を身に着けていない人もいます。マネージャは、すべての答えを持つ必要があると人々から誤解され、かつ、キャリアの議論を避けてきました。たとえば、マネージャが、リスニング・スキルを習得しようとしている従業員の練習の場、または最高のメンタとなりうる直属の部下を挙げるような場面で、本物のマネージャなら、従業員に尋ねるか、提案することができます。

時間不足と焦点のぶれ 調査によると、マネージャは直属の部下をコーチングする時間を十分に確保できません。そういう中、コーチングする人たちですら、マネジメント時間のわずか9パーセントだけ開発の議論に費やすという報告があります。管理者は、いつでも業務の停止、再編成、およびリソースの縮小を強いられる環境におかれています。その多くは、リーダの焦りと先の見通しの欠如から来るものです。

私は、リーダが短期的な収益マインド一筋で、四半期ごとに組織図を頻繁に再構築するような会社で働いていました。非効率性やその他のOD課題を対処する代わりに、彼らは日々人員削減に明け暮れていました。このような状況で、従業員の開発と成長に集中することなどできるものでしょうか。

非現実的な期待 プレッシャにさらされるビジネス志向の人々は、すぐに結果を望みますが、現実的に、従業員は期待通りに短時間で学ぶことなどできません。この考え方は、近視眼的で、リーダーシップの欠如、非現実的な期待、タレント開発に対する理解の不十分さが垣間見えます。

理解の欠如 パフォーマンスと開発について、従業員とマネージャの間で理解のギャップがあります。従業員は「開発計画」という言葉を聞くと自分のパフォーマンスに問題があると受けとめ、多くのマネージャはコーチングがパフォーマンスの解決策だと決めつけます。

さらに、あるマネージャは、昇進が開発の一部であると信じ、育成の話し合いにおいて、従業員が昇進や昇給を想定して話を進め、自分たちがその要望に応えられないことを恐れています。それゆえ、マネージャは、期待に応えることを避け、そもそも会話を始める場すら作りません。

他のケースでは、マネージャが、トレーニングを開発だと信じています。そういうマネージャは、IDPフォームを従業員に渡しながら、「XX研修を受講しなさい」、とアドバイスすれば、マネージャのタスクは完了したものとみなします。書類のチェックボックスには、しるしがついているけれども、研修は未受講という結末に至ります。

複雑なプロセス IDPプロセスは、マネージャにとって骨の折れる雑用ともいえます。企業は、IDP準拠を強制するために面倒なシステムとプロセスを作成しました。残念ながら、企業はIDPの本来の目的を見失っています。プロセスは、過剰に設計され、テクニカルです。IDPの目標は、詳細なテキストを正しいフィールドに入力し、期限までに承認を取得し、完了の自動メッセージを受信する様相に変わりました。

IDPを回避したい気持ちが理解できるケースもあります。苛立しながら時間のかかる、退屈なプロセスを辿らなければなりませんが、マネージャの責任は、従業員が自分の役割を果たし、ビジネス・ニーズに柔軟に対応することです。十分な時間がないことを言い訳にするのは、IDPに対する管理者の理解の欠如を示しています。

プロセスの変更
マネージャと従業員が一緒に、年次業績評価とともに、または直後にIDPを作成する必要があります。場合によっては、業績評価の後半で計画作成を進めることができます。

気乗りのしないマネージャがIDPを受け入れるためのいくつか手だてをご紹介しましょう。

IDPの再定義 ビジネスの成長と持続可能性のための人材戦略の1つとして位置付けます。個人の成長は、雇用主が思うよりも非常に重要です。デビッド・デミングは、ハーバード・ケネディ・スクールの公共政策の教授ですが、彼の研究によると、人工知能の継続的な進化によって、いくつかの仕事は失われますが、人間だけが持っている特定の能力を人工知能に取って替わられることはありません(今のところ)。それゆえ、自動化では、代替のきかないソフトスキルの必要性が高まり続けるでしょう。

雇用主が望んでいるのは、柔軟性があり、順応性があり、チーム環境での作業に熟練した従業員です。共感的、他者がどのように動機付けられているかを理解し、他者の立場に立つことができる人材です。社会的スキルを持つスタッフは、変化に対してより敏感であり、さまざまな同僚とタスクを交換することができます。変化する作業環境に適応し、柔軟性があり、さまざまな状況で多くの役割を担うことができます。

だからといって、ハードスキルの必要性を否定するわけではありませんが、重要度が移行していることを示唆しているものと考えます。デミングの研究は、学びの学習方法にフォーカスをおきます。デジタル化、グローバリゼーション、および新世代の参入により、組織はより弾力性、機敏な従業員、システム、およびプロセスを活用する必要があります。2020年のコロナウイルスの大流行中、企業は予測できない現実に直面させられています。

従業員は自分の快適ゾーンに留まり、新しい挑戦に抗うことは許されません。シングル・スキルセットでもはや生き延びる人もいないでしょう。むしろ、T字型の戦略(スキルの幅と深さ)を考えるべきです。雇用主は、機敏な文化と競争上の優位性を促進するクロス・トレーニングとローテーションを考慮した職務記述書を再考する必要があります。

管理者は、最初に組織のスキル・知識のギャップを評価してから、それらのギャップに埋めるために、チームメンバーの能力を開発する方法を決定しなければなりません。

開発を学習プロセスとして再構成 オンボーディング中、継続的な学習が、会社の実践的な哲学であることを社員に伝える必要があります。社内の全員がそのような文化を促進する責任があります。

今、マーケットで引手あまたにするスキルが、将来の雇用を保証するものではありません。従業員が実行することと実行しないことを制限する文言が職務記述書にないか確認してみましょう。「それは私の仕事ではありません」は、リーダが時々社員から聞く言葉です。職務記述書の中に 「割り当てられた他の義務」は依然として通用するフレーズですが、「学習要件を満たすことで、最新知識・スキルに保つ」または同様の言語を追加すると、継続的な学習への期待が伝わります。

説明責任 マネージャは、人材の採用、育成、維持の責任があります。チームのパフォーマンスは、メンバ、そして最終的にはリーダの実力を反映します。時間不足は、説明責任を全うするための正当な理由にはなりません。

従業員の育成を最優先するために、マネージャはそのための時間を絞り出す必要があります。新しいプロジェクトの状況を確認するために、従業員とのチェックインにかける時間をマネージャに尋ねてみましょう。その答えを、他の場所へ転職していく従業員の交代と再訓練にかかる時間の長さと比較してみてください。IDPプロセスの役割を明確にすることで、従業員にオーナーシップを与えながら、計画を維持し、マネージャがその個人の学習の成功をサポートすることができます。

語法の更新と構造の簡素化 人々はしばしば開発を無定形の用語と認識し、それを学習に置き換えています。前述のように、パフォーマンスと開発の違いについても意見が分かれます。 「私たちは人間ではなく、フィルムを開発している」とあるマネージャがいった場合、簡単に言えば、開発は学習であり、前向きです。そしてパフォーマンスはその学習結果の反映です。したがって、管理者はパフォーマンスと開発計画の議論を切り離す必要があります。

IDPはフォームであり、個々の開発プロセスのコンポーネントであり、有名なSMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性、および期限付き)の目標等のノウハウが散りばめられたものです。SMARTの目標作成は、マネージャに気づきを与えるため、マネージャの共感を呼びます。一方、マネージャと部下のリソースと開発活動の理解の違いが判明し、逆効果を生ずる場合もあります。

さらに、学習は進行形であるため、学習目標の完了日を正確に特定することは難しい場合があります。任意の完了日を主張するのはばかげています。 絶え間なく変化するビジネス環境で、学習が、特定の日付までに完了したと見なすことなどできるでしょうか? 代わりに、マネージャは、進捗状況について話し合い、次の目標チェックイン日を決めることが肝要です。

キャリアと学習の議論
有意義なキャリアに関する会話をすることは、開発プロセスの最も重要なステップです。従業員とマネージャは、この機会を最大限に活用しなければなりません。両者は、生産的かつ前向きな対話をする必要があります(マネージャのためのIDPプロセスを参照)。

監督者は、組織の義務、チームのスキル・ニーズ、および従業員の潜在的な学習オプションを事前に確認する必要があります。また、従業員の前向き度とインプットを引き出すために、いくつかの質問を用意します(キャリアと学習ディスカッションに関する質問を参照)。アイデアや視点を考え、計画の遂行を協力するために対話する場に身を置く必要があります。同様に、従業員は、キャリアの願望、強み、学習分野、および興味について話し合う準備をする必要があります。

管理者は、ディスカッションの結果をIDPまたは別のメモ形式に書き写して、学習目標、次のステップ、および次のチェックインを記録します。そうやって、IDP草案を、直属の部下との貴重な対話をくりかえしIDPに作り上げます。

マネージャのサポート
キャリア開発の会話を円滑に進める才能をもって生まれた人はいません。それゆえ、タレント開発チームは、IDP草案を作成し、それについて議論する方法を伝授するワークショップを綿密に企画する必要があります。

マネージャはすべての答えを持っている必要はないと理解するのがいいでしょう。深く考えられた質問は従業員と意味のある対話を促すことになります。書類を埋めるための議論ではなく、社員と雇用主のニーズの整合させていくための、気づきをもたらす議論をすることが目標です。

クリエイティブな学習
IDPを活用できるのは、実践的で豊かな学習体験を提供する学習文化を持つ組織です。以下に、企業がビジネスと従業員のニーズに対応するために実践したいくつかの創造的なアプローチを挙げます。

•GoogleはCareerGuruを実装しました。これは、世界中の経験豊富なGoogle社員から従業員に1対1のコーチングが提供されます。コーチングの会話は、イノベーションやリーダーシップからプレゼンテーション・スキルやチーム開発にまで及びます。
•サウスウエスト航空では、Days in The Fieldという機会において、従業員が関心のある部門を巡回して、新しいキャリアパスを見つけることができます。
•コンサルティング会社のBridgespanは、さまざまなスキルを使用して困難なタスクを遂行することで、従業員が多様な役割を担い、毎日が変化に富む現場作りに成功しました。これにより、アジャイル文化が育まれます。
•eMarketerでは、継続的な学習がその文化に組み込まれています。デジタルの専門知識を求める企業として競争力を維持するには、読書が不可欠です。したがって、CEOは、チームのインスピレーションを高めるために、推奨本とベストセラーを共有しています。
•TripleLiftは毎週TechTrekを開催しており、その間、従業員は自分が取り組んでいるプロジェクトを同僚と共有します。これにより、従業員が常に新しい情報にアクセスし、対象分野の専門家になるためのフォーラムが提供されます。
•HBOは、従業員が同僚と一緒に教育的なフィールド・トリップにでかけ新しいテクノロジについて学ぶことを奨励しています。

ビジネスにおける学習は、従業員が望む以上に、グローバル・ビジネスの変革の波に乗るため、これまでになく不可欠となるでしょう。プロセスは、シンプルで創造的、そして経験に基づき、インパクトが大きく、常に次の変更に備える必要があります。企業は、学習対話の方法を学ぶ従業員とマネージャに主な重点を置き、お先の真っ暗な「変更」に力を入れることには注意を払う必要があります。目標は、「このフォームに記入する必要がある」ではなく、雇用主と従業員のニーズに合った気づきについて話し合うことです。

マネージャのためのIDPプロセス

ステップ1:準備
•キャリアと学習の議論の意図と望ましい結果の理解。
•チームの組織の目標、優先順位、および、関連する新しいスキル要件の確認。
•キャリアについて話し合う前に、従業員に配慮した質問を送付。
•前向きなマインドセット。
•割り当て、プロジェクト、委員会、代表団、およびメンタの機会の検討。
•会話の先に予想される課題があるかどうかの判断。たとえば、口数の少ない従業員、L&Dに慣れていない、キャリア志向がわからない、非現実的な期待など。
•期待に沿うためにディスカッションの目的を設定する準備。

ステップ2:話し合い
•前向きな議論のトーンの設定。
•肩書き、報酬の変更、または業績に関するものではないことを説明。従業員のキャリアと学習をサポート。
•大半の時間は従業員が話しに従事し、質問を発することに貫徹。
•相手に考えさせる、フォローアップの質問をして、従業員のキャリアと学習の興味をより深く理解。
•従業員がアイデアを共有した後にのみアイデアを提供。
•仕事において学ぶという文脈で、安全圏(ほとんどの従業員が最も快適なスキル、知識、環境の観点から日常業務を行う)とラーニングゾーン(従業員が新しい経験でリスクを冒して学習し成長する)の概念について話し合い。
•想定度のテスト。時間の経過とともに変化する可能性があるため、従業員のキャリア志向を把握していると思い込まない。
•会話の結果をもとに、学習計画立案。

ステップ3:書きとめる
•従業員にメモを取ることを推奨。学習計画テンプレートをガイドとして使用。
•あなたが、メモを取ることは、従業員の発言を重要視し、聞いていることを示唆。
•今後の計画を維持する上でのあなたと従業員の役割を明確化。
•会話を理解した従業員のアウトプットを求め、最初のチェックインをスケジュール。

ステップ4:フォローアップ
•従業員の計画案を見直して、両方が一致していることを確認。
•従業員に対する自信とサポートを表明。
•簡単なチェックインで学習を継続。
学習の進捗状況を確認し、障害を挙げるため、少なくとも10分のアップデート。フォームに記入することではなく、従業員と雇用主のニーズに合った、深く有意義なキャリア・ディスカッションを行うことを重視。

キャリアと学習ディスカッションに関する質問
以下のような問いかけをしながら部下と実りあるキャリアに関する会話を進めましょう。

振出
•あなたの短期的および長期的なキャリアの目標は何ですか?
ここでのあなたの仕事は、あなたのキャリアにおいてどのような位置づけとなりますか?
•あなたにとって仕事での素晴らしい日とは、どんな日ですか。何が素晴らしい日ですか?何に取り組んでいましたか?
•あなたの考える最高の仕事を行うために、あなたをサポートするものは何ですか?または誰ですか?
•私たちの部門またはユニットの目標と、今年の会社の目標を知っていますか?
•自分がどのように貢献していると思いますか?あなたは自分のスキルと知識を持っていると思いますか?
•会社が知らないあなたのスキルや才能は何ですか?
•仕事で最もやる気を起こさせるものは何ですか?
•メンタはいますか?
•どのような仕事や活動があなたにとってよりやる気を起こさせ、面白く、または興味をそそるでしょうか?
•あなたのキャリアを発展させるために、どのプロジェクト、委員会、またはその他のイニシアチブに関心がありますか?
•他に何を学びたいですか?

目標
•どのようにしてそれらの目的を学ぶことができますか?
•あなたにとって最も興味をそそるのはどれですか?
•この議論に基づいて、今年は何を学びたいですか?
•どのような学習目標にコミットしますか?
•どのような経験があなたのキャリア目標に向かって前進するのに役立ちますか?
•このプロジェクト、委員会、または任務であなたをサポートするために会社に何を求めますか?

進捗
•最初の進捗チェックインはいつ行いますか?10分以上かかってもいいとします。
•あなたの学習計画はどのように進んでいますか?
•何が機能していて、機能していませんか?
•あなたの成功を妨げるものはありますか?
•あなたの成功を助けているものは何ですか?

https://www.td.org/magazines/td-magazine/give-new-life-to-idps
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