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ポストコロナのラーニング

2020年06月27日 09:10

日本は、新型コロナウイルスの流行による完全在宅モードから少しずつ人と人がリアルに会うような活動も再開されつつありますが、ラーニングや人事の世界はどうでしょうか。

少なくとも、「リモート・ワーク」は、働き方の一つの選択肢として導入され始め、今までデジタル環境で働くことが前提ではない組織でも、将来的なリスク回避を見据えたデジタル化や在宅勤務が模索され始めています。ネガティブな影響だけではなく、二の足を踏んでいた「変革」への一歩が大きく後押しされた組織も多いのではないでしょうか。

チェンジマネジメントこれから
制度や日常のマネジメントやコミュニケーション・スキルや健康管理などの側面も含め、人事にとり、多様な働き方を促すためにすべきことが沢山あると思います。今まで以上に長期的・戦略的視野に立ち、部分最適の動きではなく、統合的なタレント・マネジメントを実施し、バーチャル環境でもメンバの状態を把握できるITシステムの有効活用も必要とされるでしょう。ただ単にシステムを導入してデータを入れるのではなく、それをもとに新しい働く環境にあった組織文化やマネジメントの定着を図るためには、人事主導のチェンジ・マネジメントが重要になるのではないでしょうか。データ・ドリブンで、エビデンスに基づいた経営層の意思決定を促すためにも、今こそ、人事の視点から見た組織課題や変革の指針を示すスキルとリーダシップが求められていると思います。* (*データ・ドリブン人事戦略とチェンジマネジメント支援の第一歩として、人事やプロジェクト・チーム向けアクション・ラーニングも提供していますので、ご相談ください。)

オンライン・ラーニング実施のポイント
強制的に始まったリモート・ワークによって、「研修」の世界では、急遽集合で行う予定だった新人研修をZOOMなどのビデオ・カンファレンス・システムなどに「置き換えて」行った会社も多いと聞いています。そして、「あら、これからは、集合研修じゃなくてもいいんじゃない?私達の研修、全部オンライン化できる?」といった乱暴な話も聞きますが、オンラインで実施してみて、初めて「研修設計」の重要性を感じる人材開発部門や研修の提供を業としている講師やベンダーも増えています。

オンライン・ラーニング(Webinarではなく、「研修」)を実施する際のポイントは、ATDのグルたちが様々なところで発信していますが、Kathy Laborie氏の講座も参考に以下にポイントをまとめてみました。

大前提:学習の目的・目標との整合を取る (対面集合研修のコピーではない)
Key1.テクノロジー:講師はもちろん、学習者も問題なく使えるか、つながる状態を保てるか
Key2. インストラクショナル・デザイン:受講者を学習に巻き込むプロセスと研修をどのように実業務や仕事の場面に活かすのかの道筋を示す教材を含む有効な学習デザイン
Key3. プロデューサー:講師がデリバリに集中するためには、研修進行中のテクノロジの側面やチャットなど受講者のモニタなどを担う人との連携が不可欠。講師一人でいろいろなことをすると、デリバリがおろそかになる
Key4.講師:プラットフォームを使いこなす。受講者のエンゲージメントを高めるオンラインでのプレゼンテーションスキル
Key5. PC画面の向こうに一人いる受講者に対して、テクノロジ環境やコミュニケーションなど、どのように気を配るか。

私も参画しているATDでは、コロナ以前からバーチャル・トレーニングに関する情報を提供してきていましたが、先日まで行われた(今も視聴可能)なATD Virtual Conferenceでも改めて、「バーチャル」だからこそもう一度確認しなければならない「成人学習理論」や「インストラクショナル・デザイン」の基本を何度も振り返りました。そもそも集合研修でも必要なことなのですが、学習へのエンゲージやアテンション時間などがより短くなる「バーチャル研修」では、ち密な設計とシステム側の操作をサポートするプロデューサーとの連携が必要となります。

設計の面で言えば、学習の定着をしっかりと図りたいのであれば、インターアクションが必要なのは集合研修でも同様で、そのためには、クラスサイズは最高20人までと言われていますが、それは、オンライン研修でも同じです。アテンション・スパンは、集合研修では9分程度と言われていますが、それが、オンラインになると3分から4分と短くなることが分かっているそうです。つまり、3分から4分の間に必ず何等かの学習者アクションを起こす仕掛けが必要だということです。「講義(言葉は悪いですが、情報の垂れ流しで、一方的に講師がしゃべる)」形式のセミナーとは違います。セミナ形式は、「情報提供」としては良いかもしれませんが、「学習効果」はあまり望めません。

長い研修は、リアルの集合研修でも疲れますし、そもそもその80%は、その日のうちにほとんど忘れられてしまいます。インターアクションが少なければ、長期記憶に残そうとする作用が低いため、20%のなかにすら入らないかもしれません。一回のバーチャル・クラスの長さは、マックス90分と言われていますが、それが、一日の中で数回、何日も、という状態はかなりのストレスになるでしょう。

講師のファシリテーション・スキルとテクノロジーの連携のみならず、「研修」という形態が必要なのか、パフォーマンス・サポートとしての「情報」にアクセスできる環境が必要なのか、業務上の必要性と業務への習得したことの展開をどうするのか、など、改めて「研修ニーズ」の明確化とコンテンツ展開のあり方をインストラクショナル・デザインやラーニング・サイエンスを含む学習理論の基本をしっかりと見なおして、新しい職場環境に即した「学習環境」の提供が求められるのではないでしょうか。(文責:ID社代表 中原 孝子)

「インストラクショナルデザインの基礎」や、「研修ニーズの特定と効果測定の考え方」、「オンライン・ラーニングの設計ポイント」、「バーチャル・マネジメント-マネージャ―力強化」、「データ・ドリブン人事戦略推進のための基礎知識」、「チェンジマネジメントの基礎」など随時オンライン研修として展開予定です。また、「パフォーマンス・コーチング」や「人事のためのパフォーマンス・コンサルティング」の相談やオンラインアドバイスセッションも随時受付中です。Info_id@instructionaldesign.jp まで、お問い合わせください。
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