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「AI」というBuzzワードに踊らされる人事

2019年08月03日 10:51

世の中のビジネスの御多分にもれず、いよいよ人事にも「AI」の導入されたシステムがトレンドらしい・・・という空気が漂っています。 HRテックを通り越して?というか、HRテックを使いこなすためなのでしょうか。しかし、システムにAIが使われているかいないか以前に自分達の人事マネジメントや戦略上、どのようなシステムが必要なのか、どのようなデータを分析した結果としてAIが必要なのかを明らかにしないまま、「御社のラーニングシステムでは、AIが受講すべきコースを推奨する機能はついていますか?」などという質問も出るそうです。 「受講者がクリックした情報に基づいて、次はこの学習内容を推薦すべきか」程度の機会学習の機能は、すでに簡単に実装可能でしょう。でも、それは、単純に例えば、その人がGoogle検索で『xxxのフレンチレストラン』を検索していたから、この人に推奨すべき次の情報はxxx地域のレストラン情報、程度のものであり、その人に必要な学習ニーズに基づくものではありません。本来であれば、パフォーマンス・マネジメントシステムや業務システムの情報と連携し、解決策となる学習コースや情報である必要があります。または、組織にとって必要な「能力要件(コンピテンシー)」やスキル基準に基づき、コンテンツの進み具合によって、次のコースが推奨されます。例えば、SNSベースのラーニングを実施している場合、そこに記入される受講者の「言葉」のテキストマイニングに機会学習機能が使われていれば、「AI」を活用した学習を推進していることになるのでしょうか? テキストマイニングで出てきた「言葉」の背景を分析したり、さらに背景を探るデータを検証したりしなければ、その学習課題や成果を具体的に示すことはできないかもしれません。

人事としてのデータ基盤を整えるためのシステム導入は、もはや避けることができない条件かもしれません。しかし、それと同時に、改めて「タレントマネジメント」や「ピープルマネジメント」の基礎とそのフレームワークを改めて論理的に勉強する必要はないでしょうか。

例えば、人材開発に関わる部門としては、組織人材の能力・行動要件やスキル定義を定期的に明確にしているでしょうか?そして、組織の能力(ケイパビリティ―)を定期的に検証しているでしょうか? 期待される状態や、経営戦略上必要となる人材の能力要件やスキルも不明確なまま、研修メニューやラーニングコースを取り揃え、「AI」機能がシステムに入っていたとしても、学習の成果としてのデータを示すことも、根拠に基づいた学習戦略を立てることもできません。「自律的な学習を促すため」という都合の良い言葉で、人材開発が時々の流行の研修やコース・コンテンツを導入することで終わっていませんか?

人事は、従業員の学習のために予算を確保し、学習環境を整備しています。しかし、自分達のことが後回しになっていないでしょうか?デジタル・トランスフォーメーションが進んでいる今、人事が経営の機能として重要になると言われています。Bussワードに振り回されることのないよう、基本的な理論やデータ・ドリブンで、根拠に基づいた人事戦略を実行するためのフレームワークを率先して学習する人事として、自分達のための学習予算もしっかりと確保しても良いのではないでしょうか。そうしなければ、せっかくのシステム導入も組織的な活用も、経営的な利益ももたらすことなく終わってしまいかねません。 (文責:中原孝子)
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