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T+D Magazine最新号トピック: 人材育成の価値を経営者に理解してもらうために

2018年04月24日 21:05

人材育成の価値を経営者に理解してもらうために

BY CRISTINA HALL AND JOHN R. MATTOX II

人材育成が、ビジネスにどのような付加価値を与えるかについて説明するのは容易ではありません。 Donald Kirkpatrickは4つの評価を紹介しましたが、経営者はこのコンセプトとビジネス目標の関係について考えが及んでいません。一方、Jack Phillipsの投資収益(ROI)の方が広く普及しています。 しかし、それは名の通った研修プログラムでわずかに挙げられるだけなので、学びにつながる大きな貢献をしつつも、多くの疑問に答えていません。

コミュニケーション・ギャップを埋めることは困難ですが、不可能ではありません。CEBのMetrics That Matterチーム(現Gartner)は、人材育成が与えるインパクトについて新しい見方を提示しました。ビジネス・リーダーにとって意味のある4つの分野、すなわち成長の促進、業務効率の最大化、リスクの軽減、基礎スキルの養成を、人材育成の効果と整合することを提案します。このアプローチが、なぜビジネス・リーダーにとって非常に効果的かを見てみましょう。

なぜ経営者はわたしたちの話に耳を傾けないのか?
ガートナーの研究は、人材育成がまさに今直面する課題、すなわち、指導する内容を人々が信頼せず、研修がインフォーマル・ラーニングに取って代わっていく現状を示しました。そして、わたしたちは、教育予算が縮小される現実を目の当たりにしています。A

なぜでしょうか? 一般に、人材育成は、ビジネス・リーダーも同意しますが、厳しい予算を無駄なく消化し、研修がビジネスにとって最も重要な要素にてこ入れできているかどうか査定することに懸命です。 多くの人材開発組織は、企業に価値を与えていますが、重要な業績評価指標の特定化、調査プロセスの標準化、およびカリキュラム全体を測定するよりも1つの研修の成功率を測定することに時間を割きます。これは、 経営者に、人材育成が組織化されていないような印象を与えます。

人材育成の仕事は単に研修を提供するだけではなく、個々のパフォーマンスを向上し、ビジネス成果を出すための研修を提供することです。しかし、ほとんどの人材育成は、パフォーマンス改善を測定するための「暗号」を解読せず、経営者と決まりきったやりとりを繰り返しています。

人材育成と協力しながら、Metrics That Matterチームは、測定・コミュニケーションをするための1つのあり方を示しました。

1. 人材育成がどのようにビジネス価値を生み出すかについて経営者の同意を得て、価値を共有する。
2.ビジネスの継続的な成功に最も重要な要因となる価値を優先順位に並べ、許容範囲と期待するパフォーマンスを定義する。
3. 人材育成プログラムのアウトプットとなるパフォーマンスの「提供価値」をもとに、一貫して測定、モニター、改善、伝達する。

これが、ポートフォリオ評価モデルであり、最終的に経営者に報告される形となります。

人材育成の価値を一致させる
多数の組織の協力を得て、今重要な組織価値を明らかにしました。成長の促進、業務効率の高度化、基礎技術の構築または維持、そして、リスク軽減といった4つの価値です。

すべての研修プログラムは、価値を生むために存在します。ポートフォリオ評価では、価値をもとに、研修がどのようにビジネス目標の達成に貢献するかを関連させます。

成長の促進 この価値をターゲットにする研修は、トップ・ラインの成長を促すために設計します。 プログラムは、企業固有のプロセス、システム、製品、またはスキルセットに焦点を当て、収益性と市場シェアを拡大するための知識とスキルを強化します。組織に合わせてカスタマイズするため、費用が発生し、知識の移転が確実に行われるような特別なサポートも必要です。例えば、売上高、顧客維持力、新製品イノベーションを高めるための研修や、経営陣がビジネス成長のためにチームを最適に配置するための研修です。

業務効率の向上 この価値を強化する研修は収益を上げます。成長コースと同様、組織固有のプロセス、システム、スキルセットに焦点を当て競争の優位性を高めます。例として、生産性向上、コスト削減、プロセスの革新性強化、または、経営者のボトムライン・パフォーマンスの最大化を支援するための研修です。

基礎技術の構築 これは、従業員のスキル・ギャップを明らかにし、ビジネスに付加価値を加えるための成長を促します。まだ半生産性が半人前くらいかもしれないすでに新人教育を受けた従業員でも、その従業員を置き換えるよりも小さなスキル・ギャップを埋める方が、企業にとって経費がかかりません。こちらの研修は、カスタマイズされたコンテンツより、汎用性の高いものが多いです。例えば、時間管理、MS Office、導入コーチングやセールスなどが挙げられます。

リスク軽減 リスクを軽減するための研修は、従業員が特定のポリシーを遵守し、業界認定を維持することによって、財務や評判といったリスクからビジネスを保護します。規制や安全訓練の遵守を重視といったコンテンツは業界の組織間で似かよる傾向にあります。

研修が、4つの価値と紐付けされることによって、人材育成のリーダーは、遅れている指標を指摘し、関連性、仕事への応用、ビジネス成果の改善といった研修効果がでている指標と遅れている指標の関係をみます。効果の現れている指標は、受講生やマネージャによる研修後の調査結果から明らかとなります。

4つの価値が、ビジネスに重大な影響を及ぼす戦略的成果と人材育成の取り組みをつなぐための共通言語となります。このように、ビジネス・リーダーの理解する言語で人材育成の貢献を表すことができます。

期待値の優先順位とその設定
経営者に一目置かれるためには、ビジネス戦略にとって最も重要な価値がどれかを見極め、研修が成果に貢献する「程度」を理解することが肝要です。 ビジネス・リーダーが新しい研修を求めるときはいつでも、それが示すより広いビジネス優先度に対して研修ニーズを見定める必要があります。

典型的な人材育成組織は、4つの価値に合わせたプログラムを提供します。しかし、どの研修に予算をつけるかは、ビジネス・ニーズに応じて異なります。 例えば、収益を最大化することによって株主価値を高めることに焦点を当てる組織は、教育の大部分を業務効率ポートフォリオに集中させ、他のポートフォリオへの投資を削減します。規制の厳しい業界では、研修をリスク軽減に集中させるでしょう。

さらに、パフォーマンスの期待値を設定する必要があります。 ビジネス・ユニット、チーム、個人に企業全体の目標を共有するのと同様、人材育成のパフォーマンス目標は、価値ごとに上流の(多くの従業員を網羅する)目標レベルで設定し、各ポートフォリオ内の資産をあてがう必要があります。例としては、ある業務が施行されることを予測する特定のしきい値を設定すること、または研修を受けたことから良いビジネス結果生まれることを示す受講者の一定割合にフォーカスすることなどです。

いくつかの主要な業績評価指標は、1つの価値にとって重要であり、別の評価指標にはほとんど意味がないため、研修後のマトリックスにおさめるべき評価基準は、「すべてに合う」ものとなりません。ポートフォリオに選ばれた主要業績指標にもかかわらず、関係者はどの測定指標が重要かについて合意する必要があります。この過程で、ステークホルダーに気づきと期待を与え、エンゲージメントとバイ・インを引き出します。

4つのポートフォリオについて尋ねる「よくある質問」と「特化した質問」のバランスが望ましいです。情報の取得や応募に関する「よくある質問」は、ベンチマークできる、ある程度まとまったデータとなります。すべてのポートフォリオにおいて、「よくある質問」が、中核となります。さらに、各ポートフォリオには、研修が成長をもたらし、コンプライアンスを保証し、基礎スキルを構築し、効率を高めるかなどを問う「特化した質問」も含む必要があります。

測定・モニターし続け、改善を加え、伝達する
4つの価値に貢献する人材育成の成果を測定するための適切なツールを見定めることによって、パフォーマンスと改善の繰り返しを止めることができます。標準プロセスとガバナンス・モデルをもとに、有効なデータを一貫して収集します。データ収集からレポート作成まで、ポートフォリオ評価の一連の流れを示すのが、Metrics That Matter手法です。研修は、ポートフォリオに基づいて分類され、それに基づき調査が実施されます。

•初段階において、人材育成が研修を適切なポートフォリオに分類します。各研修はひとつのポートフォリオに属します
•次に、各ポートフォリオにおける「よくある質問」から生ずる指標と特化された主要業績評価指標が、調査ツールを使って収集されます。
•最後に、レポートが生成され、人材育成は、各ステークホルダにアクション・タスクを提供します。

どのステークホルダがどのレポートを受け取るかは慎重に行います。 例えば、うまくいっている要件、各研修の改善が必要かを示す報告書は、インストラクタ、デザイナ、人材育成マネージャに伝えます。人材育成のリーダーは、研修がビジネス成果にどのように貢献しているかを知りたいので、エグゼクティブ・レポートが必要です。

特定のポートフォリオに焦点を当てた追加分析と報告から、重要な気づきが生まれます。例えば、成績向上目標を達成できるかどうかの期待は、ポートフォリオによって異なるため、低い成績改善スコアを高くするための研修をランク付けすることの方が、すべての研修をランク付けするよりも重要です。このようにデータをセグメンテーションすることで、改訂すべき研修の優先順位を付けやすくします。

図 1. ポートフォリオ・スコア・カードのサンプル
業務効率の向上
増 生産性      緑 72%
減 サイクル時間  緑 51%
減 コスト       緑 70%
アプリケーション   緑 80%

成長の促進
増 生産性       緑 75%
増 セールス      黄 70%
増 顧客満足度    緑 48%
アプリケーション    赤 68%

リスク削減
増 安全      緑 80%
減 リスク     黄 51%
品質        緑 70%
組織によるサポート 黄 82%

基礎スキル
増 生産性   緑 80%
品質       緑 75%
学習効果    緑 80%
マネージャー・サポート 黄 50%

図1は、4つのポートフォリオ別の主要な指標を示すスコアカードです。 パーセンテージで示されるスコアは、ベンチマークまたは目標に対してどの程度かを示し、予測されるインパクトを与えるかどうかを色で表します。(青:インパクトあり、黄:注意、赤:インパクトなし)成長促進のアプリケーションに関して言えば、68%を示し、目標を下回わり、研修を改善しなければならないことを示します。

ポートフォリオ評価のメリット
ポートフォリオ評価アプローチは、シンプルでありながらメリットの大きい結果をもたらします。 まず、重要なビジネス優先事項と人材育成を結びつける明確な枠組みを提示します。 これは、個々のプログラムと上流のビジネス目標を結びつけ、人材育成の取り組みがどのようにビジネスに貢献するかを表します。 第2に、管理が容易にできる範囲で適切に指標を収集することを可能にします。 また、受講者は「よくある質問」慣れしていくため、調査に伴う疲労を軽減させます。最後に、最も重要なのは、ポートフォリオ評価は、人材育成の価値を経営者のわかる言語で伝えるシンプルな方法だということです。

Cristina Hall は、 Metrics That Matter Advisory Services team for CEB, 現Gartnerのリーダーです。 cristina.hall@gartner.com
John R. Mattox II は、CEB, 現Gartnerのコンサルタントです。 john.mattoxii@gartner.com.
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