学習理論やHPIを企業課題に活かす

2017年09月13日 16:48

■ 研修を活かす環境と選定基準 

先般、研修をめぐる痛ましい事故がありました。その研修がポピュラーな研修であったという事実にもびっくりしました。一体何を基準に研修を選んだのか。本来であれば、学習理論や脳科学的なアプローチには決してそぐわない研修のようでした。 

新人の研修などでは、効果的ではないということがわかっていても「詰め込み型」になってしまうのでしょうか?大変優れた設計がなされた研修でさえ、「研修」だけでは、業務実践への展開や定着は望めません。業務上の実践やフィードバックの仕組み、制度や、場合によっては、組織文化も考慮しなければ、結果として、研修で習ったことが実務には活かすことができない現状を見ることは沢山あります。 

研修を、単純に「XX社でもやっているから」、とか「xx業界では人気のある講師だから」とか、「メディアで有名だから」などで選んでいないでしょうか? 
 
インストラクショナルデザインはもとより、学習者心理や学習理論を抑えた研修ファシリテーションの知識やスキルのある研修会社なのか、そのプロフェッショナル(認定や資格を受けているのか)はいるのか、どのような設計思想や講師のファシリテーションスキル基準を持っているのかなど、研修を選定する側として基本的な理論を押さえておく必要もありそうです。 
  
ヒューマンバリューから出版されているATDベーシックシリーズの
 「組織における成人学習の基本」や「脳科学が明らかにする大人の学習」などを参考に、研修や研修講師の選定基準を考え直してみてはいかがでしょうか?

■ 「働き方改革」掛け声の落とし穴 

政府主導での「働き方改革」が叫ばれ、プレミアム・フライデーの実施や、残業時間の削減、テレワークの導入などといった施策があちらこちらで始まっています。 

そもそも「働き方改革」がゴールではないこと、何が目的なのかを示しているのではなく、ある種の「手段」の方向性を示しているだけのハズですが、いつの間にか政策側が示している「施策」実施が「働き方改革」の目的になってしまって、現場のスタッフやマネージャーが疲弊してしまっている現状はないでしょうか?
 
以前にもHuman Performance Improvement (HPI)をニューズレターでもご紹介しましたが、HPIは、組織のビジネスゴールや目標の明確化に始まって、期待される状態の定義と現状の分析に始組織の要因(制度、組織構造や業務プロセス、リソース)と個人要因(動機、知識やスキル、心身の健康)の観点から統合的に期待されるパフォーマンス状態の阻害原因を分析した上で解決策につながる「インターベンション(施策)」の組み合わせを選定します。実施に際しては、行動に関しては1か月以内の定着、業務現場に関連した目標に関しては、6か月をめどにその改善度を測定し、実施した「施策」が本当に「ソリューション」となっているのかを検証する、というPDCA, KAIZENのプロセスを回すチェンジ・マネジメントプロセスです。
「働き方改革」の推進こそ、チェンジ・マネジメントプロセスであり、組織文化のチェンジも見据えた統合的なアプローチをとらなければならない課題のはずですが、その大元の「目的」も共有されることなく、根本原因の分析も曖昧なまま、「想定原因」にアプローチする「施策実行」が次から次へと行われ、結果として巻き込まれる人達が「本当にこれが『働き方改革』になるのか?」という懐疑的な状態に陥っていることが、8月8日に発表されたNTTデータ経営研究所の調査レポート「働き方改革の取り組みと職場へのインパクト」にも示されていました。
 
欧米やインド・中東の先進企業においては、社内パフォーマンス・コンサルタントを設け、チェンジ・マネジメントを推進している企業も多く表れています。当社代表中原の元職場であるマイクロソフトでもそうでしたが、代表的なIT企業においても(Amazon、CiscoやIBMなど)でも Human Performance Improvement や Human Performance Technology のフレームワークに基づいて組織変革のゴールを明確にしながら、長期的な組織の成長と戦略目標の実現に向けた組織変革の推進をファシリテーションしています。2017年ATDの国際会議におけるIBMの改革推進のセッションでは、「人事マネージャー/パフォーマンス・コンサルタント」という役職の方が発表をしていましたが、社内におけるパフォーマンス・コンサルタントの位置づけが確立されていることに先進的な改革を継続的に進めていこうとしている同社のメッセージを感じました。
 
「目的(PURPOSE)」が不明瞭なまま何かをしなければならない状態ほど働く人にとって苦痛なことはありません。日本を上げて取り組んでいる「働き方改革」において、「こんあことやったって『無駄』だよな・・」という気持ちの人を増やしてしまわないよう、働き方改革に取り組まなければならないチームや人事のメンバーは、今こそ社内コンサルタント、チェンジエージェントとしての知識やスキルを武器とすべき時ではないでしょうか。
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