2011年10月07日 12:07
測定、あるいはビフォー・アフターを見せたい、知りたい、という声をよく聞きます。
実際には、いわゆる”ビフォー”を見せて頂いていないのですが、介入する前と、どう変わったのか?
あるいは、これからどう変えられるのか?という御質問です。
測定段階はある程度割愛しても(例えば一般的な値を当てはめるなど)
介入策には力を入れる、という策が、限られた時間・予算枠の中での最善と思ってしまわれがちですが、
残念ながら実際に管理したい、と思っている事柄を測定せずに介入後の費用対効果のみ知ることは出来ません。
今回は、生産性や売上を左右するリーダーシップやエンゲージメント等、
それぞれが持つ資質によって大きく変わると思われているようなもの、”見えない力”でも
実は測定可能であり、そして企業活動に対してそれらの影響が見て取れる、とする
興味深い記事がT+D最新号にありましたので一部御紹介したいと思います。
-------------------------------------------------------------------------
”見えない力”を測定する
私達は、本質的に管理できるものは測定可能である、と理解しているからこそ
ビジネスや組織にとっての価値を測ろうとします。
しかし、リーダーシップやコミュニケーション、チームワークなど、無形のものについてはどうでしょう?
ほとんどの企業がそういった無形資産が投資に値する、と賛同はするのですが、
それらの向上の為に実際投資する組織は少数派と言えるでしょう。
(中略)
はじめに
無形資産の測定について論証する以前に、測定に関連する2つの主要概念を
理解していなければなりません。
まず、私達が測定しているものは、自分達が価値がある、と思っているものにすぎません。
グローバルなイノベーションコンサルティングネットワークである
”ENTOVATION”のCEO、D・アミドン氏はこう言います。
”測定していないものを測定すべきです。それが測定不可能であるときに、
それらには価値がない、と考えられるのです。”
次に、改善したり管理できる事は、私達が測定するものに限られている、ということです。
ハーバード大学教授であるR・カプラン氏によると、
”測定できないものであれば管理できないし、管理できないものであれば変えることすらできない”
この2つの指摘を重ね合わせると新しい概念が表出します。
”我々は、価値があると思うものだけを改善し、管理する。”
よって、次にすべきことは無形資産の定義です。
標準的なビジネスマトリクスには、収入と利益、経営効率、そして顧客満足度、3つのカテゴリーがありますが、
ここに書かれていないカテゴリーこそが全ての基礎となる上位に属し、無形資産を包括しているのです。
私達はそれらを、営業権や知的財産というよりも人的パフォーマンスを最大にする焦点、と考えています。
そしてその土台がリーダーシップやコミュニケーション、そしてチームワークなのです。
無形資産を測定してみましょう
ビジネスリーダーの多くが、言葉では従業員を無形の資産としていますが、行動は異なるようです。
著作”Cracking Value Code *①” では、
85%の管理職が無形資産である従業員に投資すべきだと考えているにも関わらず、
それに基づいて実際に投資しているのは同上の回答者の僅か35%であると指摘しています。
この不一致は、一体何が原因なのでしょうか?
1. 見えない力-無形資産は純利益に影響を及ぼさない、という思い込み。
関連調査からも解るように、多くのマネージャーが無形資産は利益に影響しないと信じています。
しかし、それらに関するペリンの2008年調査のような研究では、
最もインゲ―ジメントの高い従業員を持つ組織はトータルで、
営業利益の19%、ひと株当たり利益の28%増の達成、
逆にインゲ―ジメントが最も低い従業員を抱える組織では、トータルで営業利益で33%、
ひと株当たり利益では11%の減益が見られたと報告しています。
2. 結果が個人にはねかえってくることへの恐怖。
仮に巧く行かなければ、無形資産の測定が
”誰それは弱いリーダーだ。”とか、”彼女がチームプレーヤーになれないのが悪い。”など、犯人探しの材料に
成り得ると思われているのです。
3. 無形資産はビジネスのDNAにはならない、という思い込み。
従来より測定対象ではなかったため、リーダー達は単にそれらの測定を考慮しようとしないのです。
4. 測定成果の判断が長期的。
ビジネスにおいてはただちに或いは短期的に成果が出るものに対し、行動を起こす傾向があります。しかし、
無形資産測定の、指標としての利用しその結果を得るには、その本質から見ても
長期的なものになりがちです。私達は、不況時、リーダー達がコアコンピテンシ-にばかりを
心配している様な時は特に、短期的結果にばかり重点を置く傾向に抗わなければなりません。
5. 説明責任が常に求められていない。
リーダーシップやコミュニケーション、チームワークの測定には説明責任が内在しています。
それらの測定に使われる情報の収集では通常、部署や部門の業績検証も含まれます。
測定をしない限り、事例証拠は出てこない為、検証対象領域のマネージャーが
説明責任を持たずに済むのです。
測定をしない場合の弊害
リーダーシップやチームワーク、そしてコミュニケーションを測定しないことには多くの理由がありますが、
これらの推進力を数量化しないことによる結果にはどんなものがあるのでしょうか。
意図的ではないにせよ、管理が行き届かなくなります。
経営費に対する人件費の比率は25%から87%の幅があり平均では35%ですが、
測定せずとも巧く管理しているつもりでも、Human Performance Instituteが09年と10年に実施した調査では、
対象会社の54%もの管理職が、自身について、インゲ―ジメントがない、心が離れた状態であると認識していました。(中略)
インゲ―ジメントのない状態を見抜くには、担当領域でのリーダーシップ、コミュニケーションそして
チームワークの低下がないかを見るべきでしょ う。
これら組織的推進力を失ったビジネスは、離職率や能力のある人材確保などの領域で財政的な悪影響を受けます
(年俸3万ドルの従業員を再雇用するためには5万ドルの支出になるからです)。
また、常習的に欠勤しているものがいるか、或いは出社しても生産性がない人間がいないかどうか等も
インゲ―ジメントの低さを見る為の手掛かりになるでしょう。
(中略)
見えない力を測定する強み
(中略)
まず何よりも、注目すべき点に焦点を当てることができるようになります。
しばしば、業務に関する情報量は整理しなくてはならないながらも膨大で、
取りこぼしもでてきます。しかし、測定結果を用いることによって、組織として、
部署として、またはチームとして一番必要な物が何であるかを理解することができます。
問題が特定されれば、リーダーが支援を決定でき、トレー人ごなどの必要に応じて人材投入することもできるのです。
また、測定することにより説明責任が生まれます。興味深いことに、説明責任が発生することは測定を実施しない理由にも、
また、その利用に関する論議の理由にもなり得ます。(中略)
測定値を利用し、説明責任を社内文化として定着させる事で、
従業員の姿勢が”●●しなくてはならない”というものから、”●●したい”というものに代っていくことでしょう。
これはイノベーション領域や企業の成長にとって大変重要なことなのです。
(後略)
実際には、いわゆる”ビフォー”を見せて頂いていないのですが、介入する前と、どう変わったのか?
あるいは、これからどう変えられるのか?という御質問です。
測定段階はある程度割愛しても(例えば一般的な値を当てはめるなど)
介入策には力を入れる、という策が、限られた時間・予算枠の中での最善と思ってしまわれがちですが、
残念ながら実際に管理したい、と思っている事柄を測定せずに介入後の費用対効果のみ知ることは出来ません。
今回は、生産性や売上を左右するリーダーシップやエンゲージメント等、
それぞれが持つ資質によって大きく変わると思われているようなもの、”見えない力”でも
実は測定可能であり、そして企業活動に対してそれらの影響が見て取れる、とする
興味深い記事がT+D最新号にありましたので一部御紹介したいと思います。
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”見えない力”を測定する
私達は、本質的に管理できるものは測定可能である、と理解しているからこそ
ビジネスや組織にとっての価値を測ろうとします。
しかし、リーダーシップやコミュニケーション、チームワークなど、無形のものについてはどうでしょう?
ほとんどの企業がそういった無形資産が投資に値する、と賛同はするのですが、
それらの向上の為に実際投資する組織は少数派と言えるでしょう。
(中略)
はじめに
無形資産の測定について論証する以前に、測定に関連する2つの主要概念を
理解していなければなりません。
まず、私達が測定しているものは、自分達が価値がある、と思っているものにすぎません。
グローバルなイノベーションコンサルティングネットワークである
”ENTOVATION”のCEO、D・アミドン氏はこう言います。
”測定していないものを測定すべきです。それが測定不可能であるときに、
それらには価値がない、と考えられるのです。”
次に、改善したり管理できる事は、私達が測定するものに限られている、ということです。
ハーバード大学教授であるR・カプラン氏によると、
”測定できないものであれば管理できないし、管理できないものであれば変えることすらできない”
この2つの指摘を重ね合わせると新しい概念が表出します。
”我々は、価値があると思うものだけを改善し、管理する。”
よって、次にすべきことは無形資産の定義です。
標準的なビジネスマトリクスには、収入と利益、経営効率、そして顧客満足度、3つのカテゴリーがありますが、
ここに書かれていないカテゴリーこそが全ての基礎となる上位に属し、無形資産を包括しているのです。
私達はそれらを、営業権や知的財産というよりも人的パフォーマンスを最大にする焦点、と考えています。
そしてその土台がリーダーシップやコミュニケーション、そしてチームワークなのです。
無形資産を測定してみましょう
ビジネスリーダーの多くが、言葉では従業員を無形の資産としていますが、行動は異なるようです。
著作”Cracking Value Code *①” では、
85%の管理職が無形資産である従業員に投資すべきだと考えているにも関わらず、
それに基づいて実際に投資しているのは同上の回答者の僅か35%であると指摘しています。
この不一致は、一体何が原因なのでしょうか?
1. 見えない力-無形資産は純利益に影響を及ぼさない、という思い込み。
関連調査からも解るように、多くのマネージャーが無形資産は利益に影響しないと信じています。
しかし、それらに関するペリンの2008年調査のような研究では、
最もインゲ―ジメントの高い従業員を持つ組織はトータルで、
営業利益の19%、ひと株当たり利益の28%増の達成、
逆にインゲ―ジメントが最も低い従業員を抱える組織では、トータルで営業利益で33%、
ひと株当たり利益では11%の減益が見られたと報告しています。
2. 結果が個人にはねかえってくることへの恐怖。
仮に巧く行かなければ、無形資産の測定が
”誰それは弱いリーダーだ。”とか、”彼女がチームプレーヤーになれないのが悪い。”など、犯人探しの材料に
成り得ると思われているのです。
3. 無形資産はビジネスのDNAにはならない、という思い込み。
従来より測定対象ではなかったため、リーダー達は単にそれらの測定を考慮しようとしないのです。
4. 測定成果の判断が長期的。
ビジネスにおいてはただちに或いは短期的に成果が出るものに対し、行動を起こす傾向があります。しかし、
無形資産測定の、指標としての利用しその結果を得るには、その本質から見ても
長期的なものになりがちです。私達は、不況時、リーダー達がコアコンピテンシ-にばかりを
心配している様な時は特に、短期的結果にばかり重点を置く傾向に抗わなければなりません。
5. 説明責任が常に求められていない。
リーダーシップやコミュニケーション、チームワークの測定には説明責任が内在しています。
それらの測定に使われる情報の収集では通常、部署や部門の業績検証も含まれます。
測定をしない限り、事例証拠は出てこない為、検証対象領域のマネージャーが
説明責任を持たずに済むのです。
測定をしない場合の弊害
リーダーシップやチームワーク、そしてコミュニケーションを測定しないことには多くの理由がありますが、
これらの推進力を数量化しないことによる結果にはどんなものがあるのでしょうか。
意図的ではないにせよ、管理が行き届かなくなります。
経営費に対する人件費の比率は25%から87%の幅があり平均では35%ですが、
測定せずとも巧く管理しているつもりでも、Human Performance Instituteが09年と10年に実施した調査では、
対象会社の54%もの管理職が、自身について、インゲ―ジメントがない、心が離れた状態であると認識していました。(中略)
インゲ―ジメントのない状態を見抜くには、担当領域でのリーダーシップ、コミュニケーションそして
チームワークの低下がないかを見るべきでしょ う。
これら組織的推進力を失ったビジネスは、離職率や能力のある人材確保などの領域で財政的な悪影響を受けます
(年俸3万ドルの従業員を再雇用するためには5万ドルの支出になるからです)。
また、常習的に欠勤しているものがいるか、或いは出社しても生産性がない人間がいないかどうか等も
インゲ―ジメントの低さを見る為の手掛かりになるでしょう。
(中略)
見えない力を測定する強み
(中略)
まず何よりも、注目すべき点に焦点を当てることができるようになります。
しばしば、業務に関する情報量は整理しなくてはならないながらも膨大で、
取りこぼしもでてきます。しかし、測定結果を用いることによって、組織として、
部署として、またはチームとして一番必要な物が何であるかを理解することができます。
問題が特定されれば、リーダーが支援を決定でき、トレー人ごなどの必要に応じて人材投入することもできるのです。
また、測定することにより説明責任が生まれます。興味深いことに、説明責任が発生することは測定を実施しない理由にも、
また、その利用に関する論議の理由にもなり得ます。(中略)
測定値を利用し、説明責任を社内文化として定着させる事で、
従業員の姿勢が”●●しなくてはならない”というものから、”●●したい”というものに代っていくことでしょう。
これはイノベーション領域や企業の成長にとって大変重要なことなのです。
(後略)
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