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T+D誌 最新記事から

2011年05月30日 10:29

 T+D最新号ではネットワークプロバイダーであるCiena社を特集しています。

技術イノベーターから、技術エデュケーターを標榜する、と語る同社では、”ハイブリッドな人材開発”を掲げ、
従来型の人材開発と新しいテクノロジーを駆使した教育を組合せて、個々の自律性の向上を目指しています。
アジリティ(敏捷さ)に対応するために、トレーニングとその作り方自体を発展させ、人材開発機能を現場の近くに置く事で、
リアルタイムに実施されるトレーニングが社内外のニーズに応える、という好循環を生んでいるそうです。
そして自身の強みを、教育に投資する事が組織の成功があり、そこには従業員の成長だけではない、高いROI効果があるとしています。

とても長い特集なのでかいつまんでお伝えしていますが、
”何かをする”(ここではハイブリット型のトレーニング)よりも”どうありたいか”
(ここでは従業員の自律性向上”が非常に明確であることがとて も印象的です。
というのも、かなり大きな課題に対しても”何かをする”ことで解決できる、という誤解に出会うことが多いからなのですが、
アメリカでも同様の事が起きているようです。

同じく最新号に掲載されていたダイバーシティの父と言われる、ルーズベルト・トーマス・Jrのインタビューでは、こんなくだりがありました。

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Q.日頃、氏が感じておられるダイバーシティとダイバーシティマネジメントに関する誤認識にはどのようなものがありますか?

A.まず第一に、それらが人種差別是正措置とすり替わっていることです。
そして、マネジメント周辺”機能”に関する誤認識が挙げられるでしょう。
そういった機能を考えるとき、まずはコンセプトや原則、意思決定のフレームワークについて話合い、
そして実践に必要とされる条件/統制や継続すべき学習などについて決めます。
これらは開発する際に必ずしなくてはならないことなのです。しかし多くの人が、ダイバーシティマネジメントに対し、
”やるべきことをとりあえずを5つ挙げて下さい。そうすれば改善できるでしょうから。”
というようなアプローチで臨んでいます。これこそが最も深刻な勘違いと言えるでしょう。

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同氏が上で語っている機能決定のプロセスはHPIのプロセスとも一致するものです。
そこでは組織という全体フレームとその構成員としての人や様々な機能、施策の連関性をとても重視します。
ある一つの目的のために良いとされる”何か”が、必ずしも本来の解決策にはならないことの方が多いからです。

日本でも、リーダーシップ施策を語るとき、また、グローバル人材を語るときに、
「何のために、何を、どの様なフレームワークで」という形で語られることがとても少ないのです。上でも指摘されているような、
「『こうなりたい』から『何をすればいいか』を教えてくれ。」と、具体施策や行動のみを要求する傾向は多く目にしてきました。
俯瞰的視点から施策の影響を考えるのではなく、いつのまにか「”何か”をする」こと自体が目的となってしまう、という傾向です。

森や山や、その周辺環境が見えていなければ、どの木を切るか、何を植えるか、が解りません。
木を切るのに必死になってしまい、森や山が見えなくなってしまうのを避ける為にも、
学習は大事であり、また継続させるための自律性が重要である、とCienaの記事から感じました。

最後に、同氏のダイバシティマネジメントに関する意見をお伝えしたいと思います。

”ダイバシティそのものは、他の人同様、人種や性別、社会的正義や人権といったことに関わると思っていますが、
ダイバシティのマネジメントでは社会的正義や人権問題、公正さとは別の機能的な課題、買収や合併、
家庭やコミュニティの問題に連動するソリューションを生みだすアプローチや考え方を指していると考えています。”
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