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10の予言 (2)

2010年09月16日 09:01

 前回、これからの10年、学びの形はどのように変っていくのだろうか?として概要をお伝えした、
10の予言の詳細を以下にご紹介いたします。

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1.増大する現実としてのソーシャルラーニング出現

 将来コンピュータブラウザの機能をもつコンタクトレンズが当たり前になったら?
ワシントン大学は、目に装着した際に自己組織化する、ナノ物体からなるコンタクトレンズの開発を
進めている。更にMITが開発するシックスセンスは携帯電話経由で駆動し、手の動きで環境と相互作用する、
装着タイプのデバイスだ。

例えば手首に丸を描く動作によって、シックスセンスは貴方が時間を知りたいと察し手首に時計を映し出す。
 誰かと偶然会って名前が思い出せずに当惑したことはないだろうか?
シックスセンスは、歩み寄る間に、掌にLinkedlnやFacebookを映し出し、ウェブ上のどこかに
写真が掲載されていないかどうか、グ-グル経由で調べてくれる。

 これがソーシャルラーニングにどういう関連があるというのだろう。
ちょっとした例を考えてみるだけでも、シミュレーションやゲームはその双方向性に新たな局面を迎え、
技術トレーニングについては、高価な設備を使うことなくバーチャルのみで完了する事が可能になる。
経営会議は事前プロフィールで必要な情報をとりこめるようデザインされた、
ネットワーク上のイベントへと変化する。シックスセンスは350USドル以下での購入が可能なこともあり、
近い将来、教育現場での導入も大いにあり得ることだろう。


2. 殆どの学習組織によるモバイル端末利用

 世界はモバイルにシフトしている。
モルガンスタンレーは、スマートフォンが2010年にノ‐トブック・ネットブック市場を席巻し、
また世界的なPC市場を2012年までに席巻するだろうとしている。
2015年まではでストップからよりもモバイル端末からインターネットにアクセスする人が多くなる見通しだ。
 2009年日本で、書籍売上トップ10の半数が、印刷前に電子版を発売したことを皮きりに、
スマートフォンや、タブレット、ネットブック等モバイル端末が出版界にもたらした変革は明白であろう。
 リアルタイムでの検索機能が益々充実することにより、質問すればすぐに回答が得られる、というように、
学習も、その適時性を増す事だろう。我々の学習は3分間の出来事になりつつあるのだ。
(中略)


3.コンテンツ全領域に採用されるゲームやシュミレーション

 今後数年のうちに労働力のマジョリティとなるミレニアム世代は、ゲームボーイやウォークラフト、
EVEオンライン等と共に育った世代である。既にIBMはオンラインでのロールプレイングゲーム(MMORPG等)を
長時間使用した者がリーダーシップスキルに長けるかどうかについて研究を始めている。
人を集め、連続するタスクをこなし、動機付け、そしてグループを維持する力は
リーダーシップスキルに繋がるとしているのだ。(中略)そして、数学や科学を教えることのできる、
暴力的な要素を排した体験型ゲームを製作する計画は既に進行中である。

 フェイスブックにあるアプリケーションに対応する、ジンガ社開発のファームビルはリアルタイムの
農場シミレーションゲームだ。2010年4月には全世界の1%に当たる人々がこのバーチャルゲームで遊んでいる。
(中略)もしも8240万の人々が農場を立ち上げる方法を学んだら、またそれを企業等が
従業員教育に使ったら、一体何が起こり得るだろうか?

 BTSをはじめ、企業が、会社経営を体験できるシュミレーションゲームを経営層に導入してもう何年にもなる。
マーケットが複雑で特化されたものになる程、経営層が全体像を見るのが難しくなってくる。
マネージメントシュミレーションによって、マイケル・シュレージが言うところの”真剣な遊び”
能力が生まれる。安全な環境下で革新的に、リスクを負う体験ができるのだ。

 ゲームは経営層だけのものではない。新人向けのゲームでは、就業前に用いることにより、
その企業の製品やサービスに馴染んでもらうことができる。協働が著しく重要になっている昨今、
このようなゲームがその教育において主要な役割を持つかもしれないのだ。


4. 大量のアプリケーション出現

(略)今日までに既に130,000以上のアプリケーションが開発されているが、モルガンスタンレーは、
2010年の終わりまで、更に500,000の新しいアプリケーションが、iPhone iPad向けに開発されるだろう
としている。人々がそれらの利便性と機能性に慣れ親しんでいることから、企業向けの全く新しいタイプの
アプリケーションへの期待が高まるだろう。
企業の人材開発や教育部門が、カスタマイズされたアプリケ―ション開発に関わるようになるだろう。
(略)


5. 活発なP2P(ピアツーピア通信)学習

 会議やワークショップへの参加にあたって一番恩恵を受けられる要素を人とのネットワーク作りや、
他者からの学びであると考える人は多いだろう。
テクノロジーを利用した仲間同士の学びも新しい局面を迎えている。
ベビーブーマー世代がフェイスブックに時間を費やす部下は時間を無駄にしていると判断する一方で、
ミレニアム世代にとってソーシャルネットワークで築いた仲間に頼ることなく仕事を完了させる事など
考えられない。
 従業員にアクセスさせる必要性とバランスをとる一方でセキュリティへの懸念から、組織においては
フェイスブックと同タイプのアプリケーションへのプラットフォーム増設が予想される。
さらに、これらは(中略)教育分野に特化されて開発が進むとみられている。
 学習機能が、どのコンテンツが人気が高くて最も閲覧されるのかを判断し、技術者によって開発された
組立コンテンツによって正式な教育コースへと作りこまれていくのだ。 この時点でナレッジマネジメントと
トレーニングが境目のない連続したものになり、機能別に分ける意味はなくなるだろう。
学習機能そのものが、向上したナレッジマネジメントとして存在するかもしれないのだ。


6. エキスパート及び信憑性ランキングで検索ネットワークに高い信頼性
 カルフォルニア大学バークレー校の研究によると、知識は18カ月ごとに倍加していくという。
それと併せると、専門家になるためには10000時間、大まかに10年の実習が必要だということになる。
知識が古くなるや否や専門家というところだろうか。

 ではどのように時間を過ごし、どのように物事を早く覚えていくのだろうか。
例えば、”MMPOG”という単語をこれまでに聞いた事がないとする。
もしあなたが他の殆どの人と同じだとすると、MMPORGトレーニングコースという言葉には
なんの引っかかりも感じないだろう。しかし、いつも使っているサーチエンジンでその言葉の意味を
調べたとしよう。そこで問題になるのは、あまりにも情報がありすぎてどれを信頼すべきかが
解らなくなってしまうことだ。

検索が進化すると、検索者の信頼する友人知人である行間専門家がいると判断すれば、
検索結果に含まれるアルゴリズムが、信じるサイト、リソースには信憑性があり、
コンテンツも確かであることをと示すのだ。例えば、ASTDのCEO,トニービリガム氏を
信頼できるソースとして保存したとしよう。仮にトニーがMMPORGについて、ある定義を承認したとすると、
その定義が自分の検索結果画面に表示されることになるのだ。
あなたの信頼するソースが、溢れるオンライン情報から概略を抜き出すことで検索をナビゲーションして
くれるのだ。

7 検索ボットによるデータ収集
知らなければならない事の一つに、検索エンジンにどんな用語あるいは疑問を入力するかがあるが、
それは、使うべき用語や訊くべき質問を完全に認識していることとは全く違うことである。
全ての知識が入手可能な今、あなたを傷つけると気づかないものは何か、が問題なのである。

このジレンマを解決する一つのソリューションに”サ‐チボット”と呼ばれるサーチロボットがある。
貴方の代わりに、依頼された知識概要に相応しい情報を探してくれる。
ネットショップで良く見るフレーズ”~を買われた方はこんなものも買っています”というのと
同じ仕組みである。

(中略)

ボットがデータを集め、毎朝貴方の元へ届けてくれる。
よいペット同様、正確な情報集めにはトレーニングとフィードバックが必要だが、
それにはどのコンテンツが好きで、どれがそれほどでもないかを示せばよいのだ。
貴方だけの情報ロボットコンサルジュの登場も遠くない。

8 政府による学習者アクセシビリティの強化
長い在任期間故この2、3年に多くの人々が経済的挫折を味わっており、
利益追求のみの焦点を当てた自由な企業活動に対する反動のため、
政府は失業者と過少雇用のアンバランスさの元凶である経済の停滞に注目し始めた。
例えば韓国では政府がトレーニング投資に対し税金の優遇措置をとるだけでなく、
投資費用まで提供している。

政府は労働者の再教育により多くのインセンティブを提供するだろうと見られている。
これらのインセンティブの対象にはいずれの政策減税から、米国での退職金積立、
401Kで使われているような承認個人アカウントなどが含まれるだろう。
カルフォルニア、インディアナ、アイオワ、イリノイ、ワシントンなどの州をはじめ、米国の幾つかの州で、
”ライフロングラーニングアカント(LiLAs)と呼ばれる、
トレーニングに対する税額控除と優遇措置が施行されている。企業からの出資で学ぶだけでなく、
自身のLiLA利用も選択できることを考えれば、学習機能を持つ組織は学習提供法を変えなければならないかも
しれない。また、産学提携での学習・関連カリキュラムの提供により重点がおかれるようになるかもしれない。

9 学習プロセスよりも認定に焦点を当てる学習機能
仕事において、簡単なアクセス傾向が強まるにつれ、知識量も連動することを求められており、
従業員が社内トレーニングプログラムを良い成績で終了したなどではもはや資質の証明には
なりづらく、教育機能によって設定された認定レベル獲得の為に必要なパフォーマンスが
システムによって認定され、その達成度が記録される。

例えば、サービス技術者には見習い、マスター、専門家からなる3段階の認定レベルがあるとする。
そして教育機能はその分野の専門家と協働でそれぞれのレベルに求められるものを定義し
認定獲得者にはインセンティブを与える。そしてプラットフォームとリソースを構築して、
技術者が認定に向け自己学習できる環境をつくる。見習いレベルでは、サービスコール時に
上司承認などが必要な場面も含まれるが、その他は自身で学習遂行できるような設計である。

また、技術者はパフォーマンスが一番重要な為、他の技術者と共同でテストを受けなけば
ないだろう。教育機能はeラーニングも用意するが、集合学習プラットフォームは
学習者が貢献するコンテンツからなり、ユーザージェネレートコンテンツとも呼ばれるだろう。
専門家レベルに達するには、このコンテンツ作成も要件の一つになるかもしれない。


10 関係者全てが評価対象;その評価も公に

 Yelpはソーシャルネットワークの一つで、地元のレストランにコメントしたり、ランクづけをしたりする
サイトだ。ミレニアル・ジェネレーションはレイトユアプロフェッサー(君の教授を評価しよう)コム同様、
ユーザーの入力で成り立っているサイトで、どこでフィッシュタコスを買うべきか、
どの教授のクラスを避けるべきかまでが明らかになっている。
 過去の購入者がつけた評点を参考にせず、アマゾンで本を買う人は少ないはずだ。
グラスドア.コムでは企業の社風から、給料、経営クオリティまでが明らかにされている。もはやこれらは
情報漏洩ではなくなっている。マネージャーはその評価を公にされ、続いて、どんな人もが、
公に評価される日が来るのかもしれない。

(中略)

 Yeloでは、施設オーナーがコメントに反論することが許されており、
それは、一般人の評価がシステムとして機能するという現れでもある。いずれにしてもプライバシーが
全く新しい局面を迎えており、我々の前進同様、これからも変化し続けるだろう。

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「9にある、『教育機能によって設定された認定レベル獲得の為に必要なパフォーマンスが
システムによって認定され、その達成度が記録される。・・・例えば、サービス技術者には
見習い、マスター、専門家からなる3段階の認定レベルがあるとする。
そして教育機能はその分野の専門家と協働でそれぞれのレベルに求められるものを定義し・・・』
となると、ますますパフォーマンスコンサルティングのスキルを人事の人が持っていなければ、
パフォーマンス認定や定義が出来なくなってきますね。 そういった意味では、
パフォーマンスコンサルティングのスキルは未来志向のスキルかもしれません。
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